歩兵操典

第二篇 中隊教練
第一章 密集
第一節 隊形
  1. 第86
    分隊の隊形、及び分隊長以下の定位、第一図の如し
    第一図
    縦(横)隊に在りて横(前後)に排列したる4(2)人をと謂い、後尾(左翼)の伍に欠員あるときは左より(後列を)欠く。之を欠伍と謂う
    各兵の間隔は、左手を腰に当てて肘を側方に張りたるとき、軽く左隣兵の右臂に触るるを度とし、距離は、縦隊に在りては前の兵の踵より後ろの兵の踵まで約1米30、横隊に在りては前列兵の背嚢(背嚢を負わざるときは背)より後列兵の胸まで約85糎とし、正しく重なる
    縦(横)隊に於ける各伍は第一(前)列に於いて前(右)より番号を附す
    縦隊に在りては、時宜に依り兵を三(二)(一)列に排列す
  2. 第87
    小隊の縦隊は、通常分隊の縦隊を番号の順序に重畳す。分隊に欠伍あるときは、後ろの分隊は逐次之を補填する如く排列す
    先頭分隊長は定位に、小隊長は其の右側に、後尾分隊長は第一列の後ろに、他の分隊長は分隊の第一伍の、連絡掛下士官(伝令)は先頭分隊の第一(二)伍の右側に位置す。後尾分隊長と前の兵との距離は兵相互間に同じ
  3. 第88
    小隊の横隊は、分隊の横隊を番号の順序に横に排列す。分隊に欠伍あるときは、左隣の分隊は逐次之を補填する如く排列す
    小隊長は小隊の前列の中央2歩前に、連絡掛下士官(伝令)は最右翼分隊の第一(三)伍の後列兵の後ろに位置す。小隊の両翼に各々分隊長を置く。他の分隊長は、分隊の概ね中央の奇数伍に重なり、後列兵の後ろに位置す。後列兵の後ろに位置するものを押伍(おうご)と謂い、後列兵との距離は前後列間に同じ
    時宜に依り、小隊の縦隊を横に向け横隊を作る
  4. 第89
    中隊の隊形は、併立縦隊、縦隊、及び中隊縦隊とす。併立縦隊は集合及び運動に、縦隊は主として運動に、中隊縦隊は集合及び短距離の運動に用う
  5. 第90
    併立縦隊、第二図の如し
    第二図
  6. 第91
    縦隊は、通常指揮班、小隊、重火器及び弾薬小隊の縦隊を、其の順序に距離2歩(馬の後端より直後の徒歩者の踵迄)に重畳す。中隊長は中隊の先頭2歩に位置す
  7. 第92
    中隊縦隊は、通常一般小隊及び指揮班の横隊を其の順序に重畳するの外、併立縦隊に準ず