歩兵操典

第三篇 機関銃及び自動砲教練
第四章 夜間戦闘
  1. 第330
    機関銃及び自動砲は夜間の行動、特に不斉地の前進、陣地進入、射撃設備、射撃動作、就中装填、照準、故障排除に習熟するを要す
  2. 第331
    夜間敵に近接するに方りては、通常卸下し、駄馬は指揮者を附し、掩護の処置を講じて残置し、随時招致し得る如く処置す
    夜間敵に近接する為の行動は一般歩兵中隊に準ず
  3. 第332
    夜間攻撃に方り、機関銃、自動砲は特に所属指揮官との連絡及び部下の掌握を確実にし、奪取せる陣地の確保を命ぜらるるや機を失せず所命の地点に進出し、第一線歩兵と連絡し、前地を捜索し、速やかに射撃を準備す
  4. 第333
    夜間射撃に方りては、昼間より周到なる準備を整え、関係部隊と予め射撃目標(区域)、射撃時期、陣地、友軍位置の標示法、連絡法等に関し協定を遂げ、友軍に対する危害予防に萬遺漏なきを要す
    夜間照明機関に対する射撃は至近距離より行うを可とす
  5. 第334
    昼間より夜間への配備変更に方りては、関係部隊と協定し、迅速に偵察を行い、夜暗に先だち射撃設備、新陣地に到る標示等を完了す。而して陣地変換は薄暮を利用するを可とするも、企図を察知せられざるを要す
  6. 第335
    夜間防禦に在りては、機関銃、自動砲は通常陣地を最前線附近に選び、友軍と密に連絡し、中断を尽くして敵の近接を察知し、好機に投じ有効なる射撃を行う。此の際、敵の位置を照明し得ば有利なり
  7. 第336
    夜間に於いては、中、小隊長は特に自衛の処置を講じ、分隊長及び銃《砲》手は通常銃《砲》側に近く位置し、警戒心を旺盛にし、敵に乗ぜられざるを要す。若し敵兵銃《砲》側に迫れば、敢然白兵を揮い、之を撃滅すべし