歩兵操典

第四篇 歩兵砲教練
第三章 戦闘
第三節 中隊
第二款 防御
  1. 第459
    中隊長は、任務を受くるや状況の許す限り綿密に地形を偵察し、第一線部隊の火力配置、他の重火器及び砲兵の射撃等を考慮して配備を定む
  2. 第460
    中隊を配備するには、中隊長は小隊長を集め、現地に就き、所属指揮官の企図、第一線部隊の配備、他の重火器及び関係ある砲兵の火力配置の概要、自己の企図等を示し、小隊の陣地及び其の射撃区域、所命の火力急襲地点、射撃の目的、基点、工事の程度及び完成時期、弾薬小隊の位置、弾薬の整備及び補充の要領、連絡、対空、対戦車、及び対瓦斯の処置、戦況の推移に応じて取るべき処置等、所要の事項を命ず
  3. 第461
    工事は其の進捗を状況に適合せしむるを要す。之が為、弾薬小隊の砲手を一時小隊に配属することあり。又、戦闘間と雖も、状況の許す限り工事を補備増強す
  4. 第462
    防禦に在りては予め十分なる弾薬を準備し、之を陣地附近に分置し、且つ掩護の処置を講ず
  5. 第463
    敵兵我が有効射界に現出するや、中隊長は所属指揮官の命令に基き、通常小隊に射撃目標を示し射撃開始を命ず
    敵兵漸次接近するや、中隊長は適時有利なる目標を捉えて之を射撃せしめ、且つ所命の如く火力急襲を行い、之を撃滅すべし
  6. 第464
    第一線歩兵、陣地前に逆襲を行うか、或は敵兵陣地に侵入せば、歩兵砲は機を失せず逆襲を妨害する敵の重火器、戦車を撲滅すべし。此の際、要すれば損害を顧みず火力発揚に最も有利なる陣地に進出す