歩兵操典

第六篇 通信隊教練
第一章 密集
第二節 密集の動作
  1. 第581
    密集の動作は一般歩兵中隊に準ず
  2. 第582
    駄載は其の場に叉銃し、又、卸下、器材の携帯及び収納は通常駄載の定位より5歩(無線に在りては3歩)前に叉銃したる後之を行い、動作終れば分隊長以下叉銃を解き定位に復す
  3. 第583
    卸下せる分隊を駄載せしむるには、左の号令を下す
    • 載セ
    分隊長は兵の動作を監視す
    甲馬馭兵は、馬を器具箱(無線に在りては一号箱、二号箱、及び空中線嚢)の後方約3歩に導き、乙馬馭兵は馬を導きて甲馬馭兵の後方約5歩に到り、共に馬の正面に立ち、之を保つ
    馬の両側に駄載するときは、馭兵は両側の準備終わるを見て宜シと唱え、左右同時に載せしむ
    有線に在りては、一、二(五、六)番は協同して器具箱を甲(乙)馬の右に、三、四(七、八)番は協同して器具箱を甲(乙)馬の左に運び、各々縛革を解き、器具箱を駄鞍に近く上げ、九番以下は之を補助して載せ、一、三(五、七)番は縛革にて縛る
    無線に在りては、五番は一号箱を甲馬の右に、四番は二号箱を、三番は空中線嚢を甲馬の左に運び、一(二)番は右(左)側の縛革を解く。四、五番は一号箱、二号箱の蓋止を外にして載せ、三番は二号箱の上に空中線嚢を重ね、一、三、四、五番は縛革にて縛る
  4. 第584
    駄載せる分隊を卸下せしむるには、卸セの号令にて駄載と概ね反対の順序に動作す
  5. 第585
    駄載せる分隊に器材を携帯せしむるには、左の号令を下す
    • 器材ヲ取レ
    分隊長及び馭兵の動作は駄載に準ず。分隊長は要すれば携帯区分を変更す
    有線に在りては、一、二番は甲馬の右に到り器具箱より一番は電話機を、二番は繰出線掛及び線1巻を、又、背嚢より小十字鍬を、三、四番は甲馬の左に到り器具箱より三番は延線器及び線1巻を、四番は巻匡及び線1巻を取出し、且つ二番より線1巻を受取る。五、六番は乙馬の右に到り器具箱より五番は電話機を、六番は線1巻を、又、背嚢より小円匙を、七番は乙馬の左に到り器具箱より線1巻を取出し、夫々甲馬の前方にて組立て、点検、携帯し、八番以下は線の点検を補助し、又、一乃至四番の背嚢を甲馬の器具箱の上に縛着す
    無線に在りては先ず卸下し、一番は一号箱より送信機、受信機、及び属品鞄を取出し、受信機を二番に渡し、送信機及び属品鞄を携帯す。二番は背嚢より小円匙を脱し、受信機を携帯す。四番は二号箱より発電機及び同接続紐を取出し三番に渡し、三番は之を携帯す。五番は背嚢より小十字鍬を脱したる後、一号箱を、四番は二号箱を駄載し、四、五番は一乃至四番の背嚢を夫々一号箱、二号箱の上に縛着し、四番は空中線嚢を携帯す
    卸下しある場合に於いては前諸項に準ず
  6. 第586
    器材を携帯せる分隊、器材を収納するには器材ヲ納メの号令にて、器材を携帯するときと概ね反対の順序に動作す
  7. 第587
    分隊及び縦隊の方向変換に方り、駄載に在りては馭兵は馬を概ね外側の兵の後方を行進せしめ、新正面にて定位に入る
  8. 第588
    縦隊より同方向に横隊を作らしむるには、左の号令を下す
    • 左(右)ヘ並ビ 進メ(ひだり(みぎ)へならび すすめ)
    戦闘の指揮班又は分隊は動くことなく(行進間に在りては停止し)、に方向を換え、他は速歩(行進間に在りては駈歩)にて捷路を経、逐次新位置に就き、各々整頓す