1936年発布

赤軍臨時野外教令


第四章
  1. 政治作業
    1. 第93
      政治作業は労農赤軍の戦闘力を向上し、レーニン、スターリン、党及ぴソヴィエト社会主義共和国連邦政府を核心とする軍の団結を強化す
      政治機関は本科ならびに各部幹部及び赤兵の愛国心を涵養し、最後まで社会主義祖国防衛の神聖なる義務を遂行せんとする意気を養わざるべからず
      政治機関は赤兵及び本科ならびに各部幹部に対し、高度の軍紀心、敢為性、犠牲的管神、燃ゆるが如き闘志、独断能力、決断心、靱強性、及び如何なる困苦欠乏にも堪え得べき忍耐力の涵養に努むべし
    2. 第94
      政治作業は政治機関の任とす
      然れども本科ならびに各部幹部も亦政治作業に任ぜざるべからず
    3. 第95
      政治部員は緊密に赤兵及び幹部と連絡し、終始之等に対する配慮を怠らず、所属部隊兵員の士気、意向ならびに要求を知悉せざるべからず
      政治部員は常に高度の政治認識、精神の緊張、鉄の如き軍紀心、靱強性、敢為性、積極性及び決断力に於いて他の儀表たらざるべからず
      政治部員は戦闘に当りては、常に率先犠牲的精神ならびに英雄的行動の模範を示すを必要とする方面に位置するを要す
    4. 第96
      政治機関は幕僚との間に業務上不断の連絡を保持し、戦況ならびに政治状況の変化に関しては凡て相互に通報を行う
    5. 第97
      政治機関ならびに政治部員は、常に部隊後方勤務の状態、弾薬、燃料、糧秣の補充、軍需品の保管、戦闘資材、技術資材並びに輸送材料の修理を適切ならしむることに注意せざるべからず
    6. 第98
      政治機関ならびに政治部員は、各部隊に於ける衣糧勤務に関する責に任ずると共に、常に全員の物質上ならびに生活上に於ける要望に関し配慮を怠らざるを要す
      政治部員は適時兵員を給養することに関し、あらゆる手段を講ずると共に給養品の品質を検査すべし
      各部隊宿営又は休止に就くときは、政治部員は自ら兵員の休宿状態を点検せざるべからず
      冬期行軍又は戦闘に当りては、政治部員は凍傷予防の為、あらゆる手段を講ぜざるべからず
      政治部員は常に兵員の靴、軍衣袴、襦袢等の修理を適切ならしむることに注意すべし
      政治機関は常に経理及び給養機関の活動状態を監視、且つ統制せざるべからず
    7. 第99
      政治部員は傷病者中毒者に対し特別の注意を払い、衛生機関をして適時且つ正確に救急手段を講じ、且つ後送ならびに給養を適切ならしむることに努力す
    8. 第100
      政治機関は各部隊をして絶えず新聞を受領せしむる如く所要の手段を講ずると共に、兵員に対する郷里よりの書信、小包、贈与品等の送達ならびに兵員の家郷に対する書信の発送に関し処置す
    9. 第101
      政治部員は適時兵員及び幹部に快適なる休養を与え、赤兵芸術演芸会、即ち軽口、手風琴、舞踊等を行い、絶えず移動映写機、ラヂオ受信機等の活用に努むべし
    10. 第102
      政治機関及び政治部員は間諜及び謀略行為に対抗する為、あらゆる手段を講ぜざるべからず。各自不断の緊張心を以って厳に軍機の保護に留意し、敵の間諜を識別することに慣れしめ、且つ流言及びパニックの伝播を防止す
    11. 第103
      政治機関は赤軍兵員に地方住民の民族生活の特異性に対する尊敬心を涵養し、以って軍隊と地方住民との関係を良好ならしむることに努むべし
    12. 第104
      政治機関及び政治部員は本科幹部と相俟って俘虜に対する政治作業を行う外、俘虜の後送、傷病俘虜の救急処置、敵の空中及び化学攻撃に対する俘虜の防護及び俘虜の所有する防毒面の機能保全に関し注意すべし