ロッキード Pー38 ライトニング

ロッキード Pー38 ライトニング 1939

戦闘機の速度性能向上を双発双胴型式に求めた 高々度迎撃機として試作され 爆撃機をしのぐ重量6.7tの巨大さで、双胴に乗員ナセル追加という異形機でした。 この後世に残る形態をロ社では、排気タービン過給器装備の便を図るためと説明して いるが、その必然性は疑問で単に奇をてらったものと評価する意見もある。

この型式の欠点としては縦の操縦性、特に尾翼フラッターを生じやすい危険性があり 本機の空力特性を充分に発揮できず、使用制限が付けられ運用されました。 反面 他国の双発機で悩まされていたナセル・ストールの可能性は、ありませんでした。

とにかく「早い飛行機」のみを追求する態度は、左右プロペラの逆回転など 実用上 非効率的な機構が盛り込まれ、トラブルが続発しました。 後にプロペラ左右同回転、大口径機関砲の廃止、小型化、運用上の使用制限などの 改修がおこなわれましたが、性能は低下する一方でした。

その実力も大いに疑問が残ります。たしかに大行動半径を利しての遠距離進出は できても、本来の戦闘機としての機能は もちあわせなかったからです。 その任務も 遠距離行動で敵の空輸補給線を攻撃するくらいで、末期には急降下 ブレーキを装備して 爆弾やロケットで対地攻撃等に参加しました。

結論としては、固定機銃を敵機めがけて発射するという以外には、戦闘機らしい 性格をもっておらず、要するに戦闘機の何たるかを本質的に理解していなかった 用兵思想の産物 といえるのではないでしょうか。



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