PART12 タンデム・エンジン機編


タンデム・エンジン配置というのは、エンジンを縦に2台配置し前のプロペラは牽引式として、
後ろのプロペラは推進式として2台のエンジンの断面積を1台分にするアイデアです。
戦前にこの方式をクラウデ・ドルニエが採用したのが水上機ドルニエ・パールで、日本でも購入
して瀬戸内海で就航したほど 世界中で好評を博しています。

こういう経緯で より完全なタンデム方式の確立を狙って開発されたのが、ドルニエ
Do335 プフィールです。胴体の前後にこのエンジン配置を採用し、後部には延長軸に加え
尾翼を十字配置とし、後部プロペラのために前輪式としました。

しかし航空省はこの当時ドルニエ社が爆撃機、飛行艇の主要生産メーカーだったために、
これらの生産の障害するとして開発中止を命令します。
一旦は中止となりましたが、後に非武装で高速侵入できる機体として再開発され
ますが、その課程において多目的昼間戦闘機、夜間戦闘機、戦闘爆撃機と設計
が変更され完成が遅れる要因になり、総生産数は約40機程に終わります。

独特の尾翼の十字配置は、離着陸時に後部プロペラが地面に触れないするためで、
胴体着陸時には投棄できるようになっている。また射出座席で脱出する際に上部
垂直尾翼と直径3.3mの後部プロペラは、火薬で投棄される構造でした。
仮に片方のエンジンが停止しても、故障した方のプロペラをフェザリングにしてやれば、
何の苦労もなく飛行できたそうです。

その性能は双発機でありながら、レシプロエンジンの限界にも近い760km/hを記録し
またふたつのエンジンが中心線上に位置するために、操縦性や運動性もよくテストでは
Fw190と比較しても その加速性は格段よかったといわれています。





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