PART18 木製機編


全金属機が登場するまで、モノコックといえば木製機がその代表であったが、その技術
は、WW1でフォッカーやアルバトロスに代表されるドイツで発達しています。
そのすでに どの国よりも木製機のノウハウを蓄積していたドイツにもかかわらず、第二
次大戦においては、主翼などの多くが木製の単発ジェット機ハインケル He162や、全木製
の双発夜間戦闘機タンク Ta154では、木製機ゆえの構造問題が生じていました。

これは製作技術の未熟さではなく、接着剤の質の問題(溶剤がある種の酸を含んで
いたために、その酸が木材をゆっくりと侵食していた)でした。
その後それにかわる接着フィルムがみつかり、問題は解決された とされていますが
このように 木製機は湿度に弱いために外に放置できない、接着剤や木材の質が
非常に難しい という問題あります

反面 戦争に突入した場合、他の機体が使用する貴重なアルミニュウムを使用しないため
木材さえあれば大量生産ができ、その製作も簡易であった。
この型式で最も有名なのが英国のデ・ハビランド・モスキトーで、パピー・ウッドという非常に
柔らかいバルサ材を厚い芯材として用い、それを樺の合板で表と裏から挟んで圧力
成形したものを、機体の外板として用いました。

木材同士は接着剤によって結合され大きな強度を持つと同時に、その表面は非常
に滑らかで 高速性能を引き出す大きな利点となっています。

 タンク Ta154  1943
イギリスの生んだ傑作機モスキトーに刺激され1942年から開発された木製機で、使用材質
は木材57%,鋼材30%,アルミ合金13%と戦略物資の使用を極端に制限していました。
43年に試作機が完成し、翌年には生産が開始されましたが、接着剤の不良の為に
空中分解してしまい急遽改良中の段階で、結局10数機が完成したに終わります。
機体自体の性能はモスキトーにやや劣る程度でしたが反面武装は強力であり、本格的に
運用されれば対爆撃機戦闘に大きな力を発揮したと思われる機体でした。





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