PART2 全翼機編



全翼機とは、胴体が存在せずに 機体の全てが1枚の主翼で構成された機体で、
まったく尾翼の無い機体と垂直尾翼を付けた機体がある。
ドイツにおける全翼機の研究で知られるのが、アスペクト比の小さいデルタ翼のリピッシュと
本編のホルテン兄弟です。

理想的にいえば 航空機は主翼だけで飛ぶほうが無駄が無い。それは膨らんだ
胴体や無駄な尾翼類によって生じる多くの抗力を捨てて、飛行に必要な揚力を
得るための必要最小限の要素である主翼のみに、エンジン出力が使えます。
また翼の弦長(コード)が長いため実際の翼厚は厚くなり、構造的に丈夫になり
翼内燃料タンクなども容易に設置できます。

反面 水平尾翼が機体の中心から近い位置にあるために、昇降舵の面積が必然的
に大きくなり 離着陸距離や速度を増大させ、また方向舵がまったくないので
安定性を欠く傾向がありました。

その対策として 風圧中心の移動の少ない翼断面を選び、この主翼に後退角と
ねじり下げを与えて重心とのバランスを保ち、水平尾翼なしの飛行が可能となる。
またタブ付きのフラップを主翼後縁に装備して、重心の後ろで発生する揚力が機首を
下げようとするモーメントを発生するので、それを相殺する役目を果たしています。
また垂直尾翼の働きに関してはエア・ブレーキを胴体後部の下面に装備し、翼端失速を
防止するのに左右の翼端部の上下面に、大小を一組にしたスポイラを8個装備した。

  ゴータ Go229  1945
ホルテン兄弟がその集大成として製作したジェット戦闘機で、当初はホルテンHo9と呼ばれて
いました。試作1号機は無動力の滑空機、2号機以降はジェットエンジンを装備して、
1944年に自力による初飛行に成功し、試験では800km/hを記録した。
3号機からは、生産がゴータ社の手に委ねられ Go229と改められています。





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