PART4 前進翼機編



後退翼の欠点として、離着陸時の低速時において進入速度がオーバーしがちになる、
翼内燃料タンクや武装のための構造や強度に、問題があることがなどがある。
高速時における後退翼の効果は戦前からわかっていましたが、ユンカース社の研究に
よって前進翼にも同じ様な効果があることがわかりました。

また後退翼では15度以上の後退角をもたせた場合、利点のひとつである横安定も
減少することがわかり、超音速では横安定を維持する必要がありました。
この点 前進翼は翼の付け根を幅広くとることができ、この部分の大きな揚力が
離着陸の速度を抑え、また翼端までその揚力が維持されるので、後退翼よりも
失速をおこしにくくなります。
翼端失速の心配がないので、付け根を幅広くすることで構造的に丈夫な主翼が
望め、後退翼のような(前出)心配はなく 総合的に欠点を補う結果になります。

このように高速機に適した型式でしたが、反面 横安定や上反角効果がまったく
なく、大型のジェット機にも関わらず大きな上反角がつけられています。
また複合材料などがない当時、高速時に翼が破壊される現象(ダイバージェンス)が
おこりやすく、後退翼の欠点を補う三角翼や三日月翼の研究が進むにつれ、この
型式は採用されなくなりました。

  ユンカース Ju287  1944
ドイツが第二次大戦に製作した多くの機体の中でも、本機は最大の変わり種であり
前進翼を採用した機体は44年に完成した。完成を早めるために胴体はHe177A-3、
尾翼はJu388、主脚はJu352と既に完成した機体のものを流用し、なかでも前脚は
撃墜したB-24のものを用いていた。

ターボジェットエンジンを機首の左右と主翼下面に計4基装備し、機体の空力特性を調べる
ために製作され前脚は固定式、がその速度は500km/hを僅かに越える程度でした。
敗戦によって6発型のJu287V2,V3が、ソ連軍によって継続して開発が続行されて、
その後のソ連爆撃機に多大な影響を与えた とされています。




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