PART8 可変翼機編


可変翼機とは 文字通り主翼を動かせることができる型式で、大戦中に実用化
された機体はなく、研究機としてメッサーシュミット MeP1101が該当します。
これは主翼の後退角度がはどの程度が最適かを調べることを目的とし、地上にて
35度、40度、45度に変更できる構造で本当の意味での可変翼機ではありません。

しかし、近年ドイツの文献で公表された1944年6月の資料では、4基のハインケル・ヒルト
HeS011を搭載した複座の爆撃機が、8度の後退角時に全幅20.5m、47度の後退角時
に全幅14mになるように、飛行中変更できる本来の可変翼機だったと推定されて
いますが、ペーパープランのみに終わっています。

音速付近や超音速での空気の特性の研究は、ドイツでの超音速翼型の発見をみても
かなり進んでいました。
が 音速よりもずっと低い離着陸時、音速付近、そして超音速に対応する理想的
な主翼を考えた場合、その主翼の形を変えることがよいのは明白でした。

しかし、それほど理想的な可変翼でありながら やはり欠点もあります。
可変のための機構や構造が複雑になり、重量も増し、可変による空力中心の移動
に対応しなければならない、主翼下面に搭載物がつけられない等がありました。
現在におけるトーネードやF-14トムキャットなどにみられる可変翼は、後退角を変化させる
ことを基本としており、その点ではP1101にその起源を発するといえるでしょう。

44年末に緊急戦闘機の計画に応じ、製作中の機体の後退角40度に固定した機体案
をP1101と命名し、作業が進められたが80%完成した時点で米軍に捕獲された。
戦後この機体を基礎としたF86と、Ta183を基礎としたソ連のMiG15が、朝鮮半島に
おいて史上初のジェット機同士の空中戦を演じたことは、その技術の先進性を証明
することとなりました。




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