PART9 スリュー翼機編


スリュー翼とは主翼が胴体に対して1本のピポー軸で結合され、この軸まわりに回転
できるようにした型式をいいます。
低速時には主翼を胴体に直交させ 一般の固定翼機と同じ飛行特性を有するが、
飛行中に斜交させ片翼前進、片翼後退にすると、この前進・後退角によって 遷/
超音速飛行での造波抗力を低減でき、あくまで高速を追求した形態でした。

残念ながら実機の完成は無く、大戦末期にかけてブローム・ウント・フォス社が数多く計画
した新型機構想の中に BvP202というスリュー翼機がありました。
時代から考えて これは明らかに遷音速級をねらったジェット戦闘機と考えられ、
胴体下面にジェット・エンジン2基を密着して装備した双発機とされていました。

由来 同社は奇抜な設計の機体が多く、これと前後し構想された計15種の新型機
は、いずれも意表をつくようなものが多かったようです。
戦局の如何はともあれ、BvP202のような機体が果たして実現まで成し得たかどう
かは、疑問符がつきます。
いいかえれば、現代の複合材料技術の進歩をまって 初めて合理的設計が可能な
機構であり、その素材としてはベニヤ板しかない当時にあっては、正に幻の機体と
いえるでしょう。





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