擂鉢山水平砲台
擂鉢山の麓に所在する十五糎砲台である。この砲台群は硫黄島攻防戦初期に強行偵察に接近した米巡洋艦及び掃海艇に対し敢然と発砲したために、位置を暴露してしまった為、「勇み足砲台」と呼ばれている。 この発砲に関して諸説有り、「本格上陸と勘違いして発砲した」や、「砲の射界や俯角の制限から、上陸後では無力化してしまうために、差し違えを覚悟で発砲した」等々で、実際に砲台に立ってみると後者のような感覚も覚えるが、真相は其処にいた砲員や指揮官の判断であったので、推論の域を出ないであろう。 この砲台が沈黙した時の状況は次のとおりである。上陸作戦開始と同時に徹底した艦砲射撃と爆撃は擂鉢山に集中するした。米軍撮影の記録フィルムを見てもこのことは明らかであり、対空機銃から戦艦の主砲まで用いた猛烈なものであった。有名な話では「擂鉢山の標高が低くなった」であるが、実際に山肌に残された砲爆撃の痕跡はそれを無言で語っている。 小生が現場を検分した処では、大阪山のコンクリートトーチカと同じ傾向で建築されているようであるが、天蓋も何もかも原型を留めていない。ただ気になったのは、待避所若しくは弾庫が砲台後方に構築されるはずであるので、壕口が見つかりそうな感じなのだが見あたらなかった。発掘したのが埋まってっしまったのか?不明である。発見された当初は、コンクリートガラと土砂に埋もれていたそうで、遺骨収集の際に発掘されたそうである。 |
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