180 光学照準機は、元々は航空機用ではなくww1初期に地上の銃砲用に考えられたそうですが採用された地上兵器はあったのでしょうか?
トロッター

  1. 光学照準機?
    ふつう、光学照準器というとテレスコープのことですが、それなら第一次大戦よりも前からありますけど・・・。
    まなかじ

  2. 航空 #5165 からの続きで、透過反射ガラスを使った電影式照準器のことでしょう。

    私のネタ本 British Aircraft Armament によれば 1900 年に発明家 Howard Grubb によって「銃砲の照準装置における改良に関する発明(Improvemnts for sighing device for guns)」として英国特許番号 12108 が登録され、数年後にダブリン王立協会(Royal Dublin Society)から「大型ないし小型の火砲に用いる平行光を用いた新式の望遠照準器(A New Collimating Telescopic Gunsight for Large or Small Ordinance)」と題する論文が出版された、とあります。ハワード氏のオリジナル案は外光を取り入れて投影像を生成するもので、実験の結果電球を用いるよう改良されたとのこと。

    ハワード氏は発明品を各種兵器メーカーに売り込んだものの「素晴らしい発明だ」との賛辞ばかりで注文はなく、1914 年にヴィッカース社に入社したのも電影照準器ではなく「潜水艦の潜望鏡を設計するため」だったそうです。翌 1915 年にヴィッカース社はハワードとの共同で電影照準器の開発開始(、ヴィッカース・マーロック式(Vickers Mallock reflector sight)と称する試作品を完成させますが、「試験では好成績を収めたが、継続した開発が行われることはなかった」とされています。

    ヴィッカース・マーロックを何に使うつもりで開発したのか判りません。同著には「対空用としての特許が申請されたにも関わらず、航空用途は考慮されなかった(although a patent was applied for stating that the sight would be useful against aircraft, no mention was made of possible aircraft use)とあります。イギリスにおける電影照準器の開発はその 10 年後、バー&ストラウド(Barr & Stroud)社が GD1 と呼ばれる試作品を開発するまで空白となっています。

    地上火器用の電影照準器ということであれば、航空 #5165 で紹介したダットサイト(Dot Sight)と呼ばれる LED 利用の電影照準器が 1980 年頃から拳銃射的競技に使われはじめ、初期には問題が多かった輝度・視野角・耐久性も向上し、現代では軍や警察の特殊部隊が備えるまでになっています。本家の射的競技では更なる視野角拡大のため外筒を省略し反射ガラスを剥き出しにした、外見的には航空用電影照準器のミニチュアのようなものも登場しています。
    ささき

  3.  脱線質問ですが

    >光学照準機?
    >ふつう、光学照準器というとテレスコープのことですが(まなかじ様)

    >航空 #5165 からの続きで、透過反射ガラスを使った電影式照準器の
    >ことでしょう

     40代の私の世代だと、例えば航空用照準機の場合、照門式→円筒が風防の外に突き出す望遠鏡式→零戦のOPL式などの光像式に進歩したと学んだ組ですが、「光像式」という言葉は、もう死語なのでしょうか?
    NG151/20

  4. >1.2.3.
     ごめんなさい。私も光学照準器と書くのはちょっと変かなと思ったのですが、ささき様のおっしゃるとおり「航空5165」の便乗質問から移動しましたので、あえて同じ呼び方を使用しました。私も光像式のほうがピンときます。
    トロッター

  5.  すいません。航空No.5165で設問致しました者です。
    私もその「照準器」の名称をどうしようかと、ちょっと迷いました。それでyahoo検索数の多い「光学照準器」と称したのであって、他の名称の方が相応しいのであれば訂正してください。

     でも、電影、光学、映像、反射、光像いずれも後に照準器を付ければ検索できるのですが、どれが最も適切なのでしょうか?
     便乗型質問なのですが・・・・
    所沢市民

  6. 英語なら Reflector Sight なので、直訳すれば「反射照準器」なのですが、何かしっくりきません。スケール・アビエーション誌の木村益雄氏の記事では「光像照準器」という用語が使われています。
    ささき

  7.  地上用の銃器で、AUGやL85などブルパップ型のライフルが導入され、それらが基線長の短くなる欠点を補う目的で、一班兵士用でも低倍率スコープを標準装備するようになって、金属片による従来の照星・照門式のサイトと区別する意味で、オプチカル・サイト、和訳して光学サイトという表現が、「GUN」など専門誌で多く見られるようになりました。1でまなかじ様のいう「光学照準器」とも対応します。故にお題の照準器を指す語としては不適切でしょう。

     また電影は、今の日本語では、普通アニメのことを指しています。当該器は、単にレチクルを映しこんでいるだけなので、動画を映しこめるような印象を与える電影、そして映像も不適切です。

     反射照準器は、作動原理を正確に表現しています。ですが私としては、レチクルの光像を無限遠で投影できて、目線が動いても照準がずれないという、旧来の望遠鏡式に対する機能上の優位点を明示している「光像」式が、やはりよりふさわしい表現だと愚考します。

     英語表記に対しては意訳になりますが、それでもかまわないと思うのですがいかがでしょうか? 
    NG151/20

  8. 「光像式」は陸海軍が用いたReflector Sightを意味する用語ですから、日本でこの種の照準器を語る場合、むしろ用いた方がわかりやすいように思います。合理性を求めて後から色々と言葉を弄るよりも歴史的な機器は歴史的な名称で呼ぶのが適当ではないでしょうか。
    BUN

  9. 皆様、トロッター様、どうもありがとうございます。
    「光像式」が最も適当であるという皆さんの意見に納得しました。
    しかし、皆さんの博学的知識の深さには、本当に驚かされる一方です。

    所沢市民


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