237  234関連でお願いします。

 234の回答の中に「海洋SEADミッション」なる言葉が出てきます。その内容は想像できるのですが、それを行う意図がわかりません。相手が水上艦ならば、攻撃機に対艦ミサイルを積んで低空から攻めていけば、水上艦は航空機に対して無力であると思うのですが、ならばこれは一体なんのために行われるのでしょうか? ミサイルの被迎撃率を落とし「本命」を当てやすくするのでしょうか?
因幡

  1.  軍艦だけで構成された艦隊相手ですと、極端な違いは生じませんが、例えば揚陸船団等を相手にした場合、通常の対艦ミサイルですと、どの艦に当たるか確実なものはありません。全滅させるのに必要なミサイル数はかなりのものになります。
     脅威になる電波を発してる艦、つまりは護衛の軍艦だけ先に潰してしまえば、後は通常の爆撃で仕上げられますし、もちろん対艦ミサイルも阻止される確率が僅少になるので、全滅させるのに必要なコストがそれだけ節約できるわけです。
    SUDO

  2. 極端な言い方をすると、ECMを用いないでレーダーを無効化するということです。艦隊の広域警戒に当たっているレーダーピケット艦や群指揮艦、エリアディフェンス艦等にARMを発射して一時的にレーダーを黙らせ(ARMが飛んできた時に狙われた方はまずレーダーを切る)、うまくいけば破壊して(最近のARMは英国のALARMのようにレーダー波が止まるとパラシュートを開いて一時的に空中を浮揚して再びレーダー波を感知するとパラシュートを切り離して目標へ向かうものまである)艦隊の広域警戒能力を一時的に奪ってしまおうというものです。その間に攻撃側は好き勝手できる訳です。勿論、ECMのようなジャミングやTALDやMALDのようなデコイ(囮目標)を組み合わせればさらに効果的になります。

    SUDOさんのお話も目から鱗で、今度使わせて(パクラせて)頂きます(^^
    AP1

  3. >AP1様
    蛇足ながら、某765社の空戦ゲームをやってみると、SUDOさんの仰っていることが体感的に理解できますよ(w
    satoski

  4.  回答ありがとうございます。
     ただ、いま少し解けない疑問があります。お付き合いいただければうれしく思います。

    >SUDO様
     対艦ミサイルは、艦隊の中に投げこんだらどの艦に当たるかわからない物なのでしょうか? 概略位置だけ入力して後はミサイル任せならともかく、航空機からの攻撃の場合は狙い撃ちにできそうなものですが(いや、多分できないからSUDO様はそう仰られているのでしょうし、たまにできるミサイルがあれば、できると本に書かれるのでしょうけど)。

    >AP1様
     艦隊のレーダーを黙らすにあたり、普通の対艦ミサイルではダメなのでしょうか?
     ARMを用いても必ずしもレーダーを切るとは限らず、SAM他の防空システムにより対抗されれば普通のミサイル攻撃と変わらないように思います。
    因幡

  5. >4
    大抵の対艦ミサイルは個艦識別能力はありません。大体は最も近くの目標か最もシグネチャ(レーダーor赤外線)の大きな目標へ向かいます。ただ日本のASM-2のように命中点選択及び個艦識別能力があるものもあります。

    ARMでは対応時間を短くするために超高速(マッハ3位の)である必要があります。HARMやALARMが空対空ミサイルのような格好をしているのはそのためです。世の中の殆どの対艦ミサイルは亜音速です。また、弾頭も通常の対艦ミサイルと違って小さなレーダーアンテナに危害を及ぼすために鋼球や子弾を使った加害範囲の大きな弾頭が必要です。そのためARMは専用品となります。

    >ARMを用いても必ずしもレーダーを切るとは限らず、
    切らなければ破壊されるだけです。またARMは完全パッシブで速度も速いため迎撃は非常に困難です。余談ですが、湾岸戦争ではミサイルを発射せずともSEAD部隊のコールサインを無線で言ったら、無線傍受していたイラク部隊が一斉にレーダーを止めてしまったという話すらあります。
    AP1

  6. >5. コソボで撃墜された F-117 乗員の救出作戦時にも、上空支援に当たった A-10 が執拗にセルビア軍の SAM に狙われ、そのたび HARM 発射の符丁である「MAGNUM」を発信すると警報表示器上のロックオン・サインが一斉に消灯した、という搭乗員の回想を読んだことがあります。
    ささき

  7. >4
    基本的にはAP1殿のおっしゃる通り,ASMに個艦識別能力はありません。
    しかし,発射前にロックオンをすれば好きな目標に向かわせることは可能です。
    ただしこれを行うにはミサイルのシーカーに目標を捕らえる必要があるため
    ミサイルの射程を生かすことができず,実戦で使うことは稀でしょう。

    また艦隊が広い布陣で,発射時の位置情報の精度がよければ,ある程度,目標を
    ばらつかせることは可能なはずです。

    >5
    SSM-1は一番大きな目標に集中しないようにするアルゴが組まれているそうです。
    ASM-2にはある程度の識別能力はありますが,一部で言われているような艦型を
    識別できるほどの個艦識別能力はありません。

    taka

  8. >7
    以前、立川で拝見したASM-2のシーカ映像のビデオでは捉えられた標的艦の映像はかなり荒いものだったように記憶しています。当時のCCDの能力ではそれが限界だったのかもしれません。
    個艦識別に関してはXASM-2の技術開発計画概要書では、艦種(目標)識別機能として戦闘艦と輸送艦を見分ける能力について触れられています。
    まぁデータリンク型ASM-2が要求されたのも、さらなる個艦識別能力を得るためとされてますので(表向きは)、それなりの限界があるのでしょう。

    SSM-1の目標選択アルゴリズムに関して以前、元技術研究本部長の筒井良三氏が講演の中で仰られていますね。そのときは沈没しつつある空母に後続のミサイルが集中しないようにとの例えでした。詳細は分かりませんが、確率論を応用したものと聞いたことがあります。
    AP1

  9.  さらに多くの皆様に回答を頂き、まことにありがとうございます。
     対艦ミサイルの識別能力については納得しました。

     ただ、ARMに関してはまだ納得しきれない部分があります。
     水上戦闘艦の防空システムにもピンからキリまでありますが、高度な防空艦であれば陸上の防空システムでは対処できないマッハ3のミサイルにも対処できるのではないでしょうか? それともこれはイージス艦やAPAR等に夢を見過ぎでしょうか?
     また、撃たれた側は、そのミサイルがARMなのか普通のミサイル(赤外線誘導、ないしARHでも終末誘導前なら電波出しませんし)なのかをどうやって判断するのでしょうか?
    因幡

  10. >9
    イージスであろうが、APARであろうが、物理法則には逆らえません。
    500mの高度を飛翔する物体を艦載レーダーが捉えられる距離はおおよそ50海里ほどでしかありません。これはHARMの射程とほぼ同等と思いますが、M3で飛翔するHARMはこの距離をおよそ1分半弱で飛びます。これが100mの高度ならおよそ22海里、40秒弱です。
    HARMのような高速ミサイルへの対処は、探知範囲の限られる艦載レーダーでは、物理的対処時間の短さが最大の問題だと思います。
    elebras

  11. >9
    二日酔いによる偏頭痛で考えが上手くまとまりませんが。。

    レーダーに向かって真っ直ぐ飛んでくるARMと通常のASMは飛翔コースが全く異なります。また超高速の赤外線誘導ASMというのは世の中に余りありません。空気密度の濃い低高度での空力加熱にシーカーが耐えられないためです。XASM-3でもIIRシーカーの塔載は結局止めています(これが主要因ではないが)
    ARHのミサイルでも終末誘導フェイズ(大体目標まで20キロ前後位)である程度高度を取り、レーダーを発信しますのでこの時点でESMに引っ掛かります。この距離が余りに短いと相手艦船を見失う可能性があるばかりか、小さな目標の場合は低高度への高度変更が間に合わずに目標の頭上を通過してしまう可能性すらあります。(余談ですがASM-2のような赤外線誘導ミサイルでは降雨や霧などで大気透過率が低下した場合、この可能性が高くなります)

    このようにASMとARMを見分けることはある程度可能です。ARMであると分かったら、全艦一斉にレーダーを消すか、空母等のHVU(高価値艦)のみレーダーを止め、エリアディフェンス艦のみ迎撃に当たる場合もあるでしょう。いずれにせよ艦隊の広域警戒能力の減少は避けられません。
    AP1

  12.  elebras様、AP1様、ありがとうございました。
     やっぱり夢の見過ぎのようです。それにしてもARMって怖いですね。お船好きとしてはあんまり飛んで来てもらいたくないです。
     AP1様につきましては繰り返しおつきあい頂き、まことにありがとうございました。
    因幡


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