砲兵操典

第二篇 銃教練
第二章 戦闘

要則
  1. 第八十五
    小銃分隊は臨機適宜の人員を以て之を編成し軍曹(伍長)若くは上長兵を持ってその長と為す
  2. 第八十六
    軽機関銃、重機関銃、高射機関銃(以下機関銃と総称す)は通常各々若干の銃を以て班を編成し下士官を以て其の長と為す
  3. 第八十七
    操縦は臨機若干の小銃分隊を以て編成し所要に応じ之に機関銃班を配属し適宜の幹部を持って小隊長と為す
  4. 第八十八
    小隊長は通常分隊の運動、射撃及び突撃を直接指揮するものとす状況に依り小銃分隊をして分隊の運動及び射撃を指揮せしむることあり
    機関銃班長は通常所属し機関の命令に基き機関銃班の運動及び射撃の指揮に任ずるものとす
  5. 第八十九
    自衛戦闘の為には敵の攻撃に対して防御し又は完全攻撃を行い其の目的を達成するを要す何れの場合に於ても砲兵本然の戦闘を考慮し兵力分散の幣に陥らざるを要す
    戦闘に当りては敵に誘致又は欺瞞せられざる事緊要なり
  6. 第九十
    小隊長は予め陣地を準備するに方りては綿密に地形を偵察し小銃分隊の陣地と機関銃陣地との関係を適切ならしめ以て火器特に機関銃の威力を最も有効に発揚し得る如く其の配置を決定し勉めて工事及び擬装を実施するを要す
    夜間の為には予め昼間より火器の配置を定め射撃の設備を整え置く事緊要なり
  7. 第九十一
    機関銃班長は所属指揮官の命令に基き指示せられたる位置付近に於て機関銃の陣地を選定す
    機関銃陣地の選定に当りては所望の射界を有し勉めて敵眼、敵火に遮蔽し急襲的に其の最大威力を発揚し得る如く著意する事特に緊要なり
    機関銃の陣地進入に再しては先ず速やかに射撃の準備を整え次でその他の設備に及ぼすものとす
  8. 第九十二
    戦闘小隊長は部下を指揮するに便なる地に占位し沈着して部下を掌握し其の士気を鼓舞し絶えず射弾を観測し部下の動作を適切ならしめ又敵情を観察すると共に所属部隊の状況に注意するを要す
  9. 第九十三
    戦闘艦小銃分隊長は部下を指揮するに便なる地に占位し沈着して部下を掌握し兵能く射撃の諸法則を守るや、能く地形、地物を利用するや、弾薬を浪費せざるや等を監視し又絶えず射弾を観測し小隊長との連絡に注意し要すれば小隊長の命令、号令を比隣部隊に伝達し且つ常に敵状に注意し之に関し所要の事項を適時小隊長に報告すべし
    機関銃班長は前項に準じ部下を掌握し且射撃の間断を利用し銃の点検、手入れを為さしむる等銃の機能を常に完全なる状態にあらしむるを要す
  10. 第九十四
    戦闘銃長は目標の状態、銃の指向、銃の機能、諸分畫の装定、射弾の景況等に注意すべし而して所要に応じ自ら銃手となり射撃を行い又弾薬の現数、兵器の故障等に関し適時其の状況を機関銃班長に報告する事緊要なり
  11. 第九十五
    戦闘兵は敵火の下に在りありて其の長の号令、命令を厳守し地形、地物を利用し確実に射撃の諸法則を遵守し常に其の指揮官に留意し沈着して戦闘を実行すべし
  12. 第九十六
    弾薬は之を節用し緊要の時機に臨み効果を収むるに必要なる弾薬に不足なからしむる事特に緊要なり