作戦要務令

第三部


第3篇 衛生

第2章 馬衛生

第1節 馬衛生機関
  1. 第222
    隊附獣医は隊長の命を承け関係諸官と密に連繋し、部隊の馬衛生勤務に関し計画、調査、指導、及び之が実施に任ず
    獣医及び獣医務下士官を有せざる部隊の馬衛生勤務は最寄部隊に依託す
    獣医は馬其の他軍用動物の保健、診療、防疫、防毒、及び装蹄業務に従事し、又、飼料、飲水の適否に注意し、食獣、食肉の検査を行い、生獣を携行するときは其の衛生及び治療に任ず
  2. 第223
    獣医は獣医携嚢、化兵症嚢甲を、獣医務下士官は馬療嚢甲及び化兵症嚢乙を、蹄鉄工兵は携帯蹄鉄工具及び馬療嚢乙を携帯す
    各部隊の獣医材料は獣医行李(山砲兵隊以外の砲兵隊に在りては獣医キョウ(木偏に及))、化兵獣医行李、及び野戦蹄鉄工具とす。而して、獣医行李(獣医キョウ)及び化兵獣医行李は、歩兵隊に在りては弾薬班に、砲兵隊に在りては段列に、工兵隊に在りては器材小隊に携行し、野戦蹄鉄工具は行李又は段列に携行す
    作戦地の状況に依り、前諸項の外、特別の材料を携行せしめらるることあり
  3. 第224
    師団病馬廠(騎兵旅団病馬廠を含む、以下同じ)は傷病馬を収容して部隊の繋累を除くと共に、傷病馬の診療を行うを以って主要なる任務とし、併せて部隊の防疫及び装蹄を援助し、所要に応じ馬、獣医材料、及び蹄鉄の補給に任ず
  4. 第225
    兵站病馬廠は、通常師団病馬廠と交代して傷病馬を収療し師団病馬廠の推進に任ずるも、状況に依り一部は比較的長く一地に開設し、施設を完備し、以って傷病馬、特に過労、痩削馬の回復を図る
    野戦軍馬防疫廠は馬及び其の他軍用動物の保健、防疫に任ずるの外、部隊の検疫、消毒等の馬衛生勤務に任ず
  5. 第226
    開設せる師団病馬廠、兵站病馬廠等の位置には、標旗又は燈火を掲げて其の所在を明瞭ならしむるを可とす