作戦要務令

第四部


湿地及び密林地帯に於ける行動

第2章 密林地帯に於ける行動

第2節 捜索及び警戒
  1. 第50
    密林内に於いては視界狭小にして捜索困難なり。故に、敵情及び林相に鑑み、進路附近の要点、林道、主要なる稜線、谷底等に着意して捜索を周密ならしむると共に、森林内の状況、特に人工的変化の有無に注意し、敵の撒毒、小部隊の待伏、奇襲等を警戒すること緊要なり
    射撃は我が企図を暴露するのみならず、騒擾に陥り混乱を惹起し易きを以って、捜索、警戒に任ずる者は特に注意するを要す
  2. 第51
    戦闘を予期し分進する場合に於いては、各部隊は自ら其の進路を開設しつつ所命の目標に向い前進するものとす。而して、其の作業は拙速を主とし敵をして対応の遑なからしむること緊要なり。此の際、捜索及び警戒の処置を周到ならしむるを要す
  3. 第52
    密林地帯内に発生せる火災は屡々数日以上に及ぶことあり。故に、軍隊は火気の取扱に注意し、若し火災に遭遇せば、地形、特に稜線、谷地の関係、及び風向を考慮して其の行動を定め、且つ之が延焼を防止し、又飛火の消火に勉むるを要す
    密林地帯内に在る敵、若しくは之に接近して陣地を占領せる敵に対しては、放火し火災に依り奇功を奏することあり