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砲兵戦術講授録 原則之部

第三篇 砲兵戦闘ノ特別原則

第三章 防御に於ける砲兵

抑々防御の主眼は 地形の利用、工事の施設、戦闘準備の周到なる等の 物質的利益に依りて兵力の劣勢を補い 且 火力 及 逆襲を併用して 敵の攻撃威力を破砕し 以って爾後の攻勢を有利ならしめんとするに存し 砲兵の用法も亦 全然此の主義の下に一貫すべきものとす 而して 戦闘準備の周到に就きては 特に火力準備を重要視するを要し 防者として敵に対せんには 先ず其砲兵火力を必要とするのみならず 敵の近接に伴い 歩砲兵の協同火力は 極度に其必要と価値とを増大し 防御戦闘の成否 懸かりて火力準備の適否に存するもの尠しとせず

之を要するに 防御に於ける砲兵用法の根本は 防御戦闘の方針に立脚して周到適切なる火力を準備せしめ 且 戦機に応じて之を運用するに在り 而して 比較的劣勢なる砲兵を以って 優勢なる敵砲兵に対すべき特質を有する防御砲兵をして 敵に優越を期せしむべき唯一の要素は 周到綿密にして 且 状況に適合せる戦闘準備に存すと云うべく 要するに 劣勢砲兵を優越化する準備 及 之に伴う漸減戦法に透徹するを要す

第一節 防御砲兵運用の要則

第一款 防御砲兵戦闘の特質

防御砲兵戦闘の特質上 顕著なる事項として列挙すべきもの 左の如し

  1. 一、 周到なる戦闘準備 及 火力の積極的使用

    防御に於ては 戦闘準備の為 所用の時間を得べきを以って 運動戦中他の戦闘に比し 最も周到を期し得べきものとす

    即ち 消極的方面に於ては 敵の認識を避くる為の偽装、遮蔽、敵火を分散せしむべき分散配置、予備陣地の構築 及 工事の施設を為し 積極方面に於ては 測地の利用に依る火力の統一機動的用法、観測 及 情報機関に依る前地の偵察、要点の標識、効力準備の射撃の実施、弾薬の準備等に依り 状況に応じ 火力運用の確固たる基礎を形成し 数上劣勢なるも尚 優勢なる攻撃砲兵を圧倒するの能力を具備するに至るものとす

    抑々防御に於ける砲兵の火力配置の準備の為には 使用時間 及 使用地図の精度に応じ 基礎測地 及 陣地の測地 前地の測地 及 標定を実施して 戦術上の判断に基く前地の要点 特に予想する 敵の進出すべき地点 及 敵砲兵陣地等に対して 適確なる位置を決定して 火力を準備し 時間の余裕大なるに伴い 益々其精度を増進し 以って攻者の弱点に乗じ 積極的に火力を発揚し 攻者の攻撃力を漸減し 以って攻勢の機を作り得べきものとす

    防御歩兵は攻撃歩兵と異なり 逆襲 又は 攻勢移転の外は 一般に静的に止まり 之が為 砲兵火力の運用も亦 駐止せる我が歩兵に対し動的に来進する敵を目標として打撃せんとするものにして 其準備、歩砲の連絡、火力の操縦共に 攻撃に比し特異の状を呈す

  2. 二、 周密なる地形の利用に依り 戦闘成果を拡大す

    防御の特質として 砲兵は 単に我が陣地内部 及 直前のみならず遠く前方に至る迄 地形を踏査し 或は 之を精測し 若は 広く地形に関する情報を蒐集し 以って敵の前進地帯に於ける地形を熟知し 適切なる状況判断と相俟って防御戦闘威力を発揚することを得べく 本項も亦 時間の余裕を得ること大なるに従い 其実施を良好ならしむるや必せり

  3. 三、 状況に依り 独力遠戦の能力を発揮す

    防御戦闘の初期 特に敵の近接時機に於て 前進する敵に対し防者の威力を加え 攻者をして平然として前進せしめ能わざらしむるを得べきものは砲兵のみにして 若し 他兵種 特に歩兵を該目的に使用せんとせば前方分派となり 逐次抵抗の害を免れず

    抑々防御に於ける砲兵用法は 右の如き状況に於て 徒に 砲兵威力を消磨することなく 敵の近迫に伴い 歩砲協調の火力に依り 敵を陣地前に破砕するを本旨とすべきこと後述するところなるも 而も 斯くの如き時期に於ては 状況之を許せば 少なくも砲兵の一部をして 真陣地と異なる陣地等より適時射撃を実施し 敵の戦力を漸減的に殲滅するを可とし 該期間に於ける砲兵は 独力遠戦の桧舞台上に其専門的遠距離火力を以って活躍すべき重要なる任務を負担するものとす

  4. 四、 状況に依り 遊動的 及 隠匿的砲兵用法を以って 兵力の劣勢を補い得

    主陣地帯の前方に於ける遊動砲兵の使用 及 主陣地帯の内部に於ける主力砲兵の一部を 戦況に応じて 予め準備せし予備陣地に移動して 敵を不意に乗せしめ 或は 敵の近迫する迄隠匿しありし砲兵を 急襲的に敵歩兵に側斜射を加えるが如きは 素より之に伴う利害を較量して実施の当否 及 程度を決定するを要するも 何れも準備周到を条件とせる防御砲兵に於て行い得べき戦闘の特色と云い得べし

  5. 五、 防御に於ける対砲兵戦

    防御戦闘に於ける対砲兵戦は 攻撃の場合に比し大に其趣を異にす 即ち攻撃に在りては防者の砲兵を圧倒し 敵をして我が歩兵の前進を阻止すること能わざらしむるを以って攻撃成功の要訣とし 攻防両者の砲兵力の比較上 通常之を断行し得べきも 防御に在りては左の如き特異の況を呈す

    今 防御に於ける対砲兵戦の利害を述べれば 次の如し

    防御砲兵の主要なる任務は 攻撃前進する敵歩兵を阻止(妨害、阻止、殲滅)するにあり 故に 防御砲兵にして敵砲兵に顧慮するの要なきときは 該任務を達成するに最も理想的の場合なり

    又 攻撃砲兵に比し兵力劣勢なる防御砲兵が対砲兵戦を行うときは 攻者歩兵阻止の重要任務を放棄し 或は 閑却軽減することとなり易く 且 優勢なる敵砲兵の為 求めて圧倒せられ 時としては敵歩兵の我が歩兵に近迫するの重要時期に先だち 已に防御砲兵は戦闘力を失うことあり

    然れども 防御砲兵の利とする所は 完全なる戦闘準備を了し 戦闘の初期 攻撃砲兵の戦闘準備完からざるに乗じ 機先を制して敵砲兵を圧倒し得るに在り

    戦闘の初期 即ち対砲兵戦の必要を生ぜざる攻者の攻撃準備時期に於て 攻撃砲兵に対し防御砲兵の利点を活用して大打撃を加え 防者将来の禍根を除き少なくも該時期に於て 攻撃砲兵に相当の損傷を与え 爾後 敵歩兵の近迫に伴い攻者砲兵の妨害を受くることなく 或は 之を軽減して其本来の任務たる敵歩兵の阻止に重点を用い得れば甚だ有利なり

    又 防御砲兵対砲兵戦を実施せざりし状況に於て 攻者歩兵を射撃する時期に至れば 当然攻撃砲兵の射撃を蒙り 此際 対砲兵戦を忌避して対歩兵戦のみを行わんとするも 実情之を許さず 而かも 敵砲兵の為 損害を受くるに至れば 終に 敵砲兵に牽制せられて 刹那的 自衛的対砲兵戦に陥るを以って 当初計画的に対砲兵戦を実施するに如かず

    況や 攻者砲兵が 攻撃準備射撃を行う場合 対砲兵戦を之に強いられて始めて実施するが如きは 求めて潰滅に陥るものなり

以上の所述を総合するに 防御戦闘に於ける砲兵は 対歩兵戦闘を主体とすべきは勿論なるも 状況上 対砲兵戦絶対に避けんとするは通常之を許さざると共に 斯くの如きは対歩兵戦の遂行上にも間接の支障を呈し易きを以って 防御戦闘に於いて一部の対砲兵戦は当然之を行わざる可からざるものとす

第二款 運用上の要項

本款に於ては 防御砲兵運用上の骨子たるべき要項中 部分的のものを摘述し 其他に関するものは第二節以下に於いて説述せんとす

  1. 一、 防御砲兵の軍隊区分 及 指揮

    防御砲兵は其兵力一般に劣勢なると、止りて敵を待つを要するの関係上 攻者の戦闘推移に追随せざるべからざること多きを以って 戦況に応じ適宜運用すべき火力を成るべき強大ならしむるを要訣とし 従って成るべく多くの砲兵力を統一して集団的に使用し 之に依って 我兵力の劣勢と受動との不利を 物質的に緩和調節するの大着眼を要す 之が為 軍直属砲兵を師団に配属し 或は 師団内に於て地区隊に砲兵を配属する場合に於ても 攻撃に於ける場合とは全く其趣を異にするを要し 警戒部隊の戦闘に協力せしめ 若は 之を支援せしむべき砲兵力 又は 前進部隊に協力 若は 配属すべき砲兵力等に関しても 以上の主旨に一貫して 飽くまで統一的集中的用法の本則に準拠すべきものとす

    1. (一) 軍直属砲兵の師団配備

      軍直属砲兵の軍隊区分 及 部署中 此処に研究を要するものは 師団に配属すべき 砲種 兵力 並びに 其時期 及 軍直轄砲兵の砲種 兵力の決定にして 之が根本は 既述の如く防御の特性上 攻撃の場合の如く 自主的に決定し得ざる因子を蔵し為に 運用上融通性を保たしむる如く配慮し 而も 機に臨みて失当の憾を遺すことあるべからず

      抑々防御戦闘に於ける 軍直轄砲兵の任務も亦 遠距離に於ける対砲兵戦 交通遮断 及 擾乱等に存し 砲兵力の 攻者に比し寡少なる防者として 斯くの如き任務に使用する砲兵は 寧ろ之を極度に節減し 成るべく多くの砲兵力を挙げて第一線師団に配属し 以って円滑有効なる歩砲協調を逞うして 敵歩兵を我陣地前に破砕殲滅するを本旨とすべきも 他面 某一師団の専用にのみ供し難く 二師団以上の正面に亙りて兵力の経済的運用上 適時之等の兵団に協力せしむるを要するもの 又は 某師団の作戦地境外の目標に対して爾他師団の戦闘に協力せしむべきもの 或は 其他既述の如き対砲兵戦等を考慮するときは 軍直轄砲兵の必要を認むるのみならず 防御の本質に鑑み戦闘の初期 特に敵の攻撃に対し未だ適確なる判断の資料なき場合に於ては 比較的強大なる軍直轄砲兵を保持し 爾後 戦闘の経過中に於て配属を決定し得るに至らば 所要の兵力を軍直轄砲兵より第一線師団に配属するを要すること少なからず 此際 素より予め軍に於ける一定の腹案に基き 軍、関係師団 及 関係砲兵部隊相互の間には周到なる準備を完了し置き 以って所要に臨み戦機を逸せざること肝要にして 特に 機に臨み砲兵配置 及 通信連絡系統の変更を避くる如く配慮しあらざる可からず

      軍直属砲兵中 軍直轄砲兵とべきや 将又 師団砲兵とすべきやに関し 特に問題を惹起し易きは 野戦重砲兵旅団にして 敵情 及 地形の判断上 当初より軍隊区分を決定し得る場合に在りては 成るべく之を師団に配属して既述の主旨に透徹せしむべきも 適確なる判断の資料なく 或は 爾後の状況推移を待つを要する場合に在りては 某師団に配属することを可とするもののみを予め配属し 其他は之を軍直轄砲兵として 少なくも戦闘経過の某時期迄保持するを要することあり

      独立山砲兵連隊は成るべく速やかに之を第一線師団に分属し 又 独立野戦重砲兵連隊は軍直轄砲兵として終始すること多きは 何れも砲種の特性 及 兵力上の関係に基くものとす

    2. (二) 師団の地区隊に配属すべき砲兵

      防御に於て地区隊に一部の砲兵を配属するは 当該地区の占領部隊をして 自ずから陣地前を側防し 若は 敵の戦車を射撃せしむる等の目的上 必要なるものにして 其要否に就いては正当に判断し 且 其兵力は所要の限度を越えしめざること肝要なり

      地区隊に配属すべき砲兵は 地区の防御力を増加する為 最も有効なるも 元来 各地区隊直前に於ける近距離の側防は 歩兵用火器を以って行い得べきを一般とし 遠距離の側防は 砲兵を各地区隊に分属することなく統一指揮の範囲に於いて実施し得るのみならず 又 地区隊に配属せし砲兵力は 戦闘の某時期迄 単に之を死蔵するの姿を呈し 全般的に劣勢砲兵を活躍せしむべき本則と矛盾し 又 某地区隊の直前を側防せしめんとする砲兵は 之を他の地区隊の戦闘地域内に配置するを要し 為に 理論上 及 白紙上 頗る有利なるべき側斜射も 互いに離隔せる歩砲兵の困難なる連繋の条件下に於て 適時適切なる効果の発揚を至難とし 或は 不可能ならしむることありて 寧ろ砲兵全般の統一的配置 及 運用の範囲内に於て 側防を行わしむるの利あるに如かざるなり

      然れども 某地区隊の前面を側防する為 該地区隊の占領地域に側防砲兵を配置するが如き場合は 連絡、協同、警戒、捜索等の為 固より配属するを利ありとするも 配属 及 陣地占領の時期は状況に依り決定するものとす 山地の防御に於ては屡々配属するを可とする状況を生ずべし

    3. (三) 前進部隊に砲兵配属の要否 及 警戒部隊の前方に使用すべき砲兵力

      防御戦闘の特質上 前進陣地の掩護下に一部の砲兵を前方に配置し 之に依りて敵の近接を適時地形上の要点に於いて妨害し 以って時間の余裕を得んとし 或は 前進部隊の戦闘を支援して其任務遂行を容易にし 或は 前進陣地の撤退を掩護し敵の窮追を阻止する等の為 砲兵火力を有効に使用するを要すること少なからず

      前進部隊の戦闘に必要なる砲兵力は 状況之を要すれば一部の砲兵を直接配属すべきも 状況によりては主陣地帯の前方に配置せる一部の砲兵を以って之に協力せしめ 或は 主陣地帯に配置せる長射程砲を以って之に協力せしめ得べき場合を生ずべし

      従って 前進部隊に一部の砲兵を配属するは 該部隊の任務遂行上 砲兵の配属を要すること大にして 統一使用の砲兵を以って之に協力せしむる程度を以って不十分なりとする場合に於てのみとするものとし 素より地形 及 前進部隊の任務等により差あるも 一般に統一使用の範囲に於いて之が運用を策するを勝れりとす

      前項に関連して附言すべきは 警戒陣地の前方に配置使用すべき砲兵力にして斯くの如き用法は 砲兵の統一的集団用法の本則上 寧ろ変則の事項に属し 動もすれば劣勢なる砲兵力を各個分散的に使用し逐次に各個撃破を蒙るの不利を醸し易く 従って 斯くの如き用法は 地形上 之を行うを利ありとするか 或は 陣地占領の為 時間の余裕を得るの方策として採用するが如き場合等に止め 之が実施に際しても其要度 及 兵力に関しては 深甚の考慮を払うこと切要なり

    4. (四) 警戒部隊の戦闘に協力すべき砲兵

      此種砲兵は 主陣地帯に配置せる砲兵を以ってすべきものにして 元来警戒陣地の位置は 主陣地帯内にある砲兵威力の掩護下に在らしむるを以って一の決定要素となすものとす

  2. 二、 防御砲兵の射撃開始 及 効力射準備射撃

    防御砲兵の射撃開始は 機宜に適すること特に緊要なるを以って 其実施は 高級指揮官 之を命ずるを本則とす

    抑々防御砲兵の配置は 其射撃開始と共に攻者に知悉せられ 該配置は攻者の攻撃計画立案上緊要無二の判断資料となるを以って 之が開始 特に主陣地帯に於ける砲兵の射撃開始の時機は 全般の状況に通暁し 全般の戦闘指導を主宰せる高級指揮官に於て命令するを肝要とし 使用すべき弾薬補給の関係等より述べるも亦必要大なりとす

    防御に於ては 戦闘準備に使用し得る時間の余裕は相当に大なるを一般とし 従って 測地を実施しあるを通常とするを以って 状況上 一部小数の砲兵をして効力射準備射撃を行わしむること肝要にして 之に依って 戦闘の当初より適切有効なる効力射を遂行し 以って防御戦闘の目的に資することを得べく 状況上測地を行うの余裕なき防御に於ては 効力射準備射撃の必要 及 困難は 益々大なるべし

    防御に於ける効力射準備射撃の必要は以上の如くなるも 之を実施するに当りては 次の二要件を考慮し 且 之に基く利害を較量して決定すること肝要なり

    1. (一) 我企図の秘匿に注意するを要す

      我企図を秘匿せんとせば 敵の現出に先ち効力射準備射撃を完了し置くを要するも 他面 効力射準備射撃をして価値大ならしめんには 其実施の時期は効力射の直前なるを要し 而も斯くの如き時期に於ては 敵の空中 及 地上の捜索機関に対し 我企図を暴露し易く 加之 我前地には 前進部隊 及 警戒部隊等の存在しありて 此際 効力射準備射撃を行わんとせば 第二項の要求にも矛盾することとなり 従って 之が実施に関しては 我空中機関の活動に依りて 少なくとも敵の空中機関を局部的一時的に制御し 又 我前進部隊 及 警戒部隊等の配置により 敵の地上捜索機関の視目を盲断するを要し 以って成るべく効力射の実施に近き時期に於て効力射準備射撃を行うこと肝要なり

      茲に附言すべきは 我企図の秘匿問題にして 状況に依りては 某程度迄 其不利を忍ぶも 効力射準備射撃の遂行による利益を獲得せざる可からざることあり

    2. (二) 前方に在る友軍に対し危害を及ぼさざるを要す

      効力射準備射撃の実施をして 大なる効果あらしめんが為 成るべく効力射実施の時期に近からしめんとせば 前方に派遣せる我前進部隊 及 警戒部隊に対する危害を顧慮せざる可からず 従って 此等の警戒部隊と砲兵との間には 危害予防に関し予め詳細綿密なる協定を遂げしむるは勿論 高級指揮官は 要すれば砲兵の射撃範囲 並びに 警戒部隊の行動に関し 所要の指示を与えるを要することあり

      其危険の限界は 砲兵射撃教範 射撃演習の危険予防に準ずれば充分なり

      之を要するに 準備を速やかならしめ 効果を大ならしめ 且 企図の秘匿する為の効力射準備、測地を完全にし 転移射 標定射等 射撃法の選択に俟つ所大なりとす

  3. 三、 防御砲兵 戦闘準備の為 時間的余裕

    抑々防御砲兵使用の根本は戦闘準備に存し 該準備の成否 及 良否は 一に時間の余裕の大小に依りて決定すべく 換言せば 砲兵をして適時適所に其最大威力を発揮せしむる如く運用を律せんとせば 既述せし如く 為し得る限り時間の余裕を与えるを要するや 敢えて架設を俟たざるべし

    時間の余裕を与える為 高級指揮官等の考慮すべきは 其砲兵用法の完全に決定したる後 始めて砲兵に対し之を開示し 若は 命令せんとするは 通常 策の得たるものにあらず 徒に時間を空費するの結果に堕し易きを以って 防御戦等の如く時間の余裕ある場合と雖も 砲兵用法の完全なる決定を待つことなく 速に先ず概括的 若は 部分的 或は 逐次的に砲兵用法上の企図を明示し以って 砲兵指揮官をして 袖手無為に死節時を生ぜしめざる如く留意すること肝要なり

第二節 防御砲兵陣地 及 火力配置

第一款 防御砲兵陣地
  1. 一、 防御陣地一般の選定上 砲兵に関し考慮すべき要則
    1. (一)

      主陣地帯中 主力砲兵の陣地は 歩兵の抵抗地帯と共に 重要なる二大要素なりと謂うべく 両者の関係良好にして 我歩砲の火力を一束として 最も有効に主陣地帯の前方に協調発揮せしむること極めて緊要なり 歩砲両者の関係を適良ならしむべき歩砲陣地の離隔距離は 地形、歩兵抵抗地帯の縦深、砲兵に与うべき任務、我砲兵の敵砲兵に対する顧慮等に依り差異ありて 一定の数値を以って律するを得ず 概念的に 歩兵抵抗地帯前縁よりの距離を約二粁と称するは 平坦地に於ける歩兵抵抗地帯の縦深(小隊 約百米、中隊 約二百 乃至 三百米、大隊 約六,七百米、連隊 約千米内外、旅団 約千五百米内外)を基準としたるものなり

    2. (二)

      主陣地帯上の地形は 攻勢の支トウたるに適する地形を含み 部隊の縦深配備に適する等の要件と共に 良好なる観測所を有すること極めて肝要なり

      即ち 良好なる地上観測所は 砲兵使用の為 其放列陣地の選定よりも一層重要なること既に縷述せしところにして 之が為 状況之を要すれば 抵抗地帯の一部を前方に推進して良好なる観測所を得る如くするを要することあり 又 時としては主陣地帯の前方に於ける要点に観測所を配置し 僅少の歩兵を以って之が掩護に任ぜしむるを要することあり

    3. (三)

      主陣地帯内部 及 背後の交通自在にして敵眼に遮蔽するは 砲兵の為 特に必要なり 是之に依って自由に弾薬材料を補充し 僅少なる砲兵を最も有利に使用し 攻者の威力を陣地前に破砕し得るのみならず 有効なる逆襲 若は 攻勢移転を支援すべき砲兵の陣地変換等の為にも 絶対に必要なればなり 而して斯くの如きは 成るべく地形を利用するは勿論 所要に応じ 交通設備を増補 或は 新設し 若は 遮蔽の施設を加えるものとす

  2. 二、 防御砲兵の陣地選定一般の要領

    防御砲兵の放列陣地は 所望の如く火力を運用し得るを主として決定し 其主力は抵抗地帯の後方に配置すべきものにして 自ら之を縦深に配置して 其任務に応じ 或は 敵を遠距離に支え 又は 最後の時機に至るまで其位置を変ずることなくして歩兵に協力し 併せて 敵砲兵の損害を避け得しむる如くするを可とし 要すれば一部の砲兵を主陣地帯の前方に配置し 或は 抵抗地帯内に配置するを要することあり

    観測所は抵抗地帯の後方に之を選み所望の地域を観測し得ば 最も可なるも 状況によりては之を歩兵の抵抗地帯内に置き 時としては主陣地帯前方の要点に配置するを要することあり

  3. 三、 防御砲兵陣地の縦深

    防御砲兵主力の陣地は 警戒部隊の前方より主陣地帯の直前に亙る地域に其火力の大部を指向し 且 主陣地帯内部に対しても火力を指向し得せしむるの火力配置要領に立脚して 其縦深配置を決定するを要す

    我警戒陣地の位置は 主陣地帯にある砲兵の支援を受くるを標準として決定すべきも 同時に又 警戒陣地は 前方に現出すべき敵の歩兵重火器により我が歩兵抵抗地帯を直接射撃し得ざらしむるを要し 之が為には警戒陣地は抵抗地帯の前縁より一・五〜二粁を離隔し 警戒陣地の戦闘を支援すべき砲兵は 警戒陣地の前方 少なくも一・五 乃至 二粁を火制し得るを要するを以って 歩兵抵抗地帯の前縁より 少なくも一・五 乃至 二・五粁の後方に位置すべき砲兵は 警戒陣地の戦闘に対し 五 乃至 七粁の射程を以って之を支援することとなるべく 之 即ち 縦深配置の砲兵中 最前端のものとす

    次に 縦深配置の後端は陣地内部に配置すべき火力を顧慮し 各部の逆襲 及 攻勢移転を較量して之を定むべく 協力すべき最後方に活動する歩兵に対しても 友軍超過射撃の限界を顧慮するところあるを要す

    以上の如き縦深配置は 戦闘全期を通し 各部隊同一陣地の固着すべきものに非ずして 特に少数の砲兵を以って威力ある戦闘を遂行せしめんには 一般に不利なる陣地後退をも行わざる可からざることありて 要は 砲兵の兵力 任務 及 陣地内に於ける地形 並びに 観測所の関係等によりて自ずから決定せらるべきものとす

    又 防御砲兵は其戦闘の特性 及 兵力上 成るべく広潤なる方向射界を有せしむること肝要にして 之が為 地形を顧慮するのみならず 要すれば適宜に放列陣地を後退して方向射界を増大し 以って火力の機動性を増加するを要することあり 之が為 運動性大なる砲兵を前方に配置するを可とす

  4. 四、 歩兵抵抗地帯内の砲兵配置

    歩兵抵抗地帯内に砲兵を配置するときは 戦闘に方り 敵歩砲兵の熾烈なる火力に浴し 敵歩兵の突撃を受けて動作の自由を失い易く 又 我が逆襲 及 攻勢移転を支援せんとするとき 友軍超過射撃の実施難に遭遇して砲兵戦闘動作の自由を拘束せらるるを以って 好んで採用すべき方法に非ずと雖も 主陣地帯の地形 特に其縦深陣地前の地形 並びに 砲兵に与うべき任務によりては 砲兵の一部を抵抗地帯内に配置するを要することあり

    1. (一) 主陣地帯の縦深小なる場合

      山地 若は 隘路の出口に 直接 防御陣地を占領せんとする場合 若は 森林 或は 村落の 縁端に防御陣地を占めんとするが如き場合に在りては 全般地域の関係上 歩砲殆ど同線に於て主陣地帯を選定するの余儀なき状況を呈し 又 歩兵の抵抗地帯の後方に砲兵陣地を設けるの余地少なき場合に在りては 少なくも 砲兵の一部は歩兵の抵抗陣地内に之を配置するを要すること多し

    2. (二) 陣地前の地形に左右せらるる場合

      陣地前の地形上 前地に於ける大なる死角を消滅する為 砲兵の一部を抵抗地帯内に配置し 歩砲同線の不利を忍ぶを要することあり

    3. (三) 砲兵任務の関係する場合

      対戦車砲兵の如き 或は 近距離側防砲兵の如き 好機に投じ直接照準を以って有効なる射撃を行わんとするものは 抵抗地帯内に陣地を選定するを要すること多し

    以上の如き必要に基き 一部の砲兵を抵抗地帯内に配置する場合に在りては 関係ある歩砲兵の間には 特に緊密なる協定を行い 且 砲兵の射撃に関する諸準備を周到適切にし 以って敵火の為 動作の自由を拘束せられざる如く至大の注意を払うこと肝要なり

  5. 五、 遊動砲兵 及 予備陣地
    1. (一) 遊動砲兵

      敵の近接運動 並びに 攻撃準備間 其動作を妨害する目的を以って 主陣地帯の前方に一部の砲兵を配置し 其位置を適宜変換する如く準備するを可とすることありて 之を遊動砲兵と俗称しあり

      抑々敵の近接運動 及 攻撃準備間に於ける動作の妨害は 我が主陣地帯上 比較的前方に位置する砲兵を以って火制するを本旨とするも 砲兵の射程 観測所の関係 其他前地に於ける地形 或は 天候気象の関係によりては之を許さざることあり 斯くの如き場合に在りては 主陣地帯の前方に遊動砲兵として一部の砲兵を配置し 敵の動作を妨害せしむるを要するものとす

      遊動砲兵は以上の任務を達成したる後 敵が主陣地帯の攻撃に着手するに先だち 適宜主陣地帯内の本陣地に帰還し 爾後該陣地に於て有効なる戦闘を遂行し得るを要するものにして 之が為には 地形上 遮蔽して遊動し 且 後退し得るか 或は 状況上 夜暗を利用して退避し得るを肝要なりとし 其用法適当なるときは 砲兵本来の性能を遺憾なく活用し 有効なる遠戦遂行によりて 敵を圧服し 且 陣地変換によりて敵の標定を困難ならしむるのあるも 他面 砲兵統一用法の本義にもとり 兵力分散 逐次の便用に陥り 加之 陣地後退の困難と 各個損傷の不利を醸成しやすきを以って 高級指揮官は 克く全般の状況を達観して其成否 及 程度を決定し 又 之が為に使用すべき兵力 及 其動作に関しては 適確なる準拠を与えること肝要なり

    2. (二) 予備陣地

      敵兵 我陣地に近迫せる時 小数の砲兵と雖も 新たなる陣地より敵の不意に乗じ射撃するときは 其効果特に大にして 此目的を達成せんが為 砲兵の一部を戦闘の某時期迄使用することなく隠匿して位置せしめ置くときは 最も可なりと雖も 斯くの如きは全般兵力上 之を許さざること多きを以って 通常 予備陣地を設備し置き 所要に臨み短距離の移動によりて其目的を達成するを要すること多し

      予備陣地は 敵火 及 瓦斯に依る損傷を避くる為にも必要なり

第二款 火力配置
  1. 一、 砲兵火力配置一般要領

    抑々砲兵は 其抵抗地帯の前方に於いて歩兵火網に協調して 濃密なる火網を構成すべく 歩兵は火網外の要点には 予め機関銃 及 歩兵砲等を以って有効なる火制を準備し 又 陣地内部にも逆襲に協力し 且 陣地各部の独立性を保持する為 火力を準備すべきを以って 砲兵火力の配置は斯くの如き歩兵火網の配置と密接なる協調の下に行われるべきものとす

    砲兵火力の配置を考察せんには 之を前後(縦深)及 左右(横広)に区分して考定するを要し 其要度に応じ厚薄濃淡ありて 要点に対する集中威力の適用主義に一貫すべきものとす

    1. A、 縦深関係
      1. (イ) 警戒部隊の前方より歩兵火網の前方迄

        此範囲内に於ては 我警戒陣地の前方に於ける敵歩兵の行動を妨害し 又 特に警戒陣地を攻撃せんとする敵を射撃して 警戒部隊の戦闘を支援するもの 及 警戒陣地奪取後 敵の行うべき攻撃準備を妨害するもの 並びに 攻撃準備後 攻撃前進を阻止するもの等を含有し 敵の遠近に応じ差あるも 概して砲兵独力を以って火力戦闘に任ずべき範囲に属し 該地域内の要点に対し適宜火力を配置し 以って前方に在る我歩兵の戦闘に協力し 或は 前進する敵を阻止するものとす

      2. (ロ) 歩兵火網の直前 及 内部

        砲兵火力の配置を最も濃厚ならしめ 該地域に配置せる歩兵火網と相俟ちて 歩砲協同の火力を最高度に発揮し 以って敵を撃滅破砕すべきものとす

      3. (ハ) 主陣地帯の内部

        適宜火力を配置し 所要に応じ歩兵の陣内戦闘に協力するに遺憾なからしむ

    2. B、 横広関係

      左右関係に就いて濃淡の程度を考察するに 予期する敵の主攻撃方面 我攻勢の企図する方面 及 逆襲を予想する地域に於て濃密ならしむるを要し 又 隣接兵団の作戦地域内 特に之との接続部附近にも所要の火力を指向し得る如くすること肝要なり

  2. 二、 歩砲兵火力の協同

    歩兵火網の直前 及 内部は 砲兵の火力配置を最も濃密ならしむるを要する部分にして 此部分に於ける歩砲火力の混合状態は 左の如くなるべし

    1. (イ) 歩兵火網の直前
      • 歩兵重火器のみを以って火制し得る地域 若は 地点あり
      • 歩兵火網の前縁に連接して配置せる砲兵の火力配置あり
      • 歩兵火網の直前にして 歩兵火器を以って射撃し得ざる地域に対し砲兵火力を配置するの要あり
    2. (ロ) 歩兵火網の内部
      • 歩兵の純然たる主火力準備地域にして 各種歩兵火器の濃密なる火網を構成す
      • 歩兵火網の内部 特に其比較的前方の地域に対し 戦術上の要度に応じ 敵を殲滅すべき砲兵の火力配置あり
      • 歩兵火網の内部に於ても 地形上 歩兵用火器を以って射撃するを得ざる部分あるときは 特に該地域に対し砲兵火力の配置を必要とす
      • 歩兵抵抗地帯の前後に於て 要すれば固定弾幕の阻止を計画す

    即ち 防御に於ける歩砲兵の火力協同には 先ず陣地占領に方り 歩砲兵の火力を陣地前方に於いて最も有効に協調発揮せしむる如く配置すること緊要にして 又 防御に在りては 戦況に応じて適宜運用すべき火力は 成るべく之を大ならしむるを肝要なりとするも 必要の時期に至らば歩兵直接協同の火力を十分ならしむるに吝かならざるを緊要とす

    某地区隊の正面に於ける阻止に任ずる砲兵の任務は 直接協同なりや否や 即ち 該砲兵は該地区隊の直協砲兵なりや否やは屡々問題とせらるるところにして 之を学究的に論述せば 歩兵の抵抗地帯の前方に在る歩兵火網の前縁より以内の阻止に任ずべき砲兵は 該時期に於て当該地区隊に直接協同せるものと謂い得べく 更に歩兵は其火網外の要点に対しても火力を準備せるものあるを以って 斯くの如き歩兵の準備地域の戦闘に協同する砲兵も亦 我が歩兵と直接の関係を有するを以って直接協同するものと称し得べく 警戒部隊の戦闘に協力するは之亦直接協同なり 特に逆襲 及 攻勢移転に際しては 純然たる直接支援を為すを以って 某地区隊の戦闘地域内の阻止に任じ 且 某地区隊の逆襲 及 攻勢移転を直接支援する選任任務の砲兵は 直協砲兵なりと称するを至当とす 砲兵は某時期 地区隊の歩兵に関係なく独力阻止に任ずることあるべく 此阻止は歩兵の行動には間接的のものにして 歩兵火網の前方某距離より地区隊歩兵の火力配置と協力して 阻止に任ずるに至りて始めて 直接歩兵の行動に関係を有する阻止を以って 実質的に該地区隊に対し直接協同せりと称するを妥当なりとす 従って 単に「某地区隊に直接協同すべし」との命令を以って足れりとせば完全なりと称し難きも 歩兵の行動に直接関係ある阻止に任ずべき時期、地域 若は 方面等 火力準備の内容を附示する場合に於て完璧を期し得べきものとす 但 地区隊直協の専任任務にあらざるときは「主として某地区隊に直接協同すべし」と命ずべく 防御なるが故に歩兵直接協同なしと称するが如きは 歩砲協同の精神上 適当ならず

  3. 三、 師団命令に示すべき火力配置 及 戦闘初期の任務

    師団長の防御命令中 砲兵の火力配置に関しては 「主要なる各時期における所望の方面 若は 場所に配置すべき火力 及 其目的」を明示するを要し 其指示すべき程度は 素より状況 特に時間の余裕の大小により差あるも 一般に防御の特質上 運動戦に於ける他の戦闘に比し 砲兵隊火力に関する高級指揮官の指示の詳細なるは 其必要と可能性とに基づくものとし 以下 若干の解説を加えんとす

    1. (一) 主要なる各時期

      防御戦闘経過の各時期を意味し 此各時期を如何なる程度に区分して指示すべきやは 一に状況によるも 一般に防御戦闘の各時期として 敵情 並びに 友軍の状態により区分し得べきものは次の如し

      1. (イ) 敵情に依るもの
        • 近接時期
        • 攻撃準備時期
        • 警戒部隊の戦闘時期
        • 主陣地帯に向かう攻撃前進時期
        • 歩兵火網に近接したる時期
        • 火網内に進入したる時期
        • 突撃時期
        • 陣地内部の戦闘時期
        主陣地帯前方に於ける戦闘
      2. (ロ) 友軍によるもの
        • 攻勢移転の時期
        • 逆襲の時期
    2. (二) 所望の方面 若は 場所に配置すべき火力

      方面とは 某地区隊方面 或は 概括的の某地域を指示するを云い 場所の指示は地区地物を以ってし 或は 地点 及 限定せる地域以ってするを通常とし 目標(敵砲兵、敵戦車の如し)の種類によるも亦 場所に関する指示法の一たるべし

      火力の指示法は 砲兵大隊数(何大隊の如し)を以ってし 稀には砲兵中隊数を以ってすることあるべく 時宜により主力(主火力) 或は 一部等の火力指示法を用いることあり

    3. (三) 目的

      戦術上の目的に依るか 或は 射撃場の目的に依るものにして 前者としては攻撃準備の妨害、攻勢移転に直接協同、敵の前進阻止の如き其例にして 後者としては破壊、殲滅、制圧、交通遮断、擾乱、目潰し等の如き之なり

      抑々攻撃に在りては主要なる各時期に直接協同せしむべき火力を命ずるに反し 防御に於ては配置すべき火力を命じあるは 防御に於ては攻撃の如く自ら其選択に従い能動的に戦闘を指導し火力を運要すること能わずして 戦闘経過は一に敵の行動に依りて律せられ 防者は概して受動的に戦闘を指導し其火力の発揚も亦 敵情の発生如何に依りて左右せらるるもの多し 従って 防御に在りては予め敵情 及 地形を判断し 為し得る限り綿密周到なる火力配置を行いて敵を待つべく 配置せる火力を如何に運用すべきやは 全く敵情の現実如何に依るものとし 状況に依りては予期せざる時期 若は 準備なき方面に於て 砲兵火力の運用を要する場合も亦 絶無なりと称し難し

      防御に於ける火力の真意は以上の如くなるを以って 其火力配置は全く砲兵戦闘の為の火力準備なりと云うべく 愈々実行する砲兵戦闘の任務とは全然別個のものたるを銘刻するを要し 之が為 砲兵に与うべき防御の師団命令中に 「要すれば戦闘初期に於ける任務」を示す如く規定せられある所以にして 斯くの如きは全般の関係上 殆ど決定的に予示し得る範囲の任務にして 而も之が実施上 周到なる準備 及 迅速なる着手を必要とする場合なりと云うべく 之を例示せんが 敵の近接時期に於ける要点に対する交通遮断射撃の如き 或は 前進部隊の戦闘に協力し警戒部隊の戦闘を支援するが如きものなりとす

      然れども 任務を与え得るに至れば 速やかに戦術的任務 又は 射撃的任務を附与し 適時適切に戦況に応じて砲火を所望の方面に指向するを要す

      火力準備を命じたる後は 砲兵指揮官に委して顧みざるが如きことあるべからず 而して兵力相当大なるか 敵情判明し固定的任務を与え得るに至れば 師団砲兵として担任すべき任務(戦闘綱要第三十の任務)を命ずべきは勿論なり

  4. 四、 砲兵戦力と火力準備との関係

    戦術上所要の地点には火力準備あるは勿論なるも 砲兵戦力(砲数、弾薬数 及 火力機動の準備の相乗値)は 戦術上の要求全部を満足せしめ得ざることあるを通常とす 之が為 重点を定め軽重の順序を附するに至るは已むを得ざるなり 今純真に砲数弾薬数のみを以って火力配置の面積を算討せんに 野砲一大隊、一門七百発とせば 大隊の総弾数は八千四百発にして 一ヘクタール百五十発の殲滅を企図せば 殲滅し得る面積は五十六ヘクタールなり 而して大隊は三中隊を一地域に集中するを殲滅の一般要領とするを以って 三中隊併列の場合を考えるば十九地域に火力を準備し得ることなるべし 故に集中殲滅のみにより考えれば 戦術上必要なる地点十九地域を準備し得べし 制圧は一ヘクタールの所要弾数 殲滅の三分の一にて足るを以って約百六十八ヘクタールの制圧、大隊集中五十六地域を準備し得べし 然れども 疎開分散散開して前進する動的の敵に対し一地域一回の射撃にて足れりとするは 目標補足上謬りにして少なくも二、三回の復行を企画せざれば齟齬を生ずべし 今假りに二回復行するものとすれば 殲滅地域数は約十、制圧の場合二十八地域となる、今殲滅と制圧の弾数を同等にすれば殲滅五、制圧十四地域となる、三と一の比にすれば殲滅七、制圧七となるべし

    防御に於て敵の前進妨害、警戒陣地に協力の時期は制圧程度にて可なるべく 攻撃準備の破砕、火網内外の阻止は殲滅を可とすべく 陣内戦闘は制圧に満足するの已むなき状況と想像し得べく、攻勢移転 及 逆襲時期は両者併用の場合を生起すべし

    今 一大隊一門七基数とし 各時期に於ける弾数の配当を火網内外阻止 及 攻勢移転に重点をおき配当すれば 各種の案を生ずべきも 戦闘継続時間、敵を捕捉し得る状態、積極的攻勢企図等を加味し 一案を示せば左の如し

    時期 使用弾比
    (%)
    弾数
    (ヘクタール)
    制圧
    (ヘクタール)
    殲滅
    (ヘクタール)
    制圧か殲滅か
    (ヘクタール)
    敵の近接時期 5 420 8 3 制圧(8)
    敵攻撃準備時期 10 840 16 6 殲滅(6)
    警戒部隊の戦闘時期 5 420 8 3 制圧(8)
    主陣地帯に向かう敵前進時期 10 840 16 6 制圧(16)
    歩兵火網に近接進入せる時期 20 1,680 32 11 殲滅(11)
    突撃時期 10 840 16 6 制圧(16)
    陣内戦闘時期 5 420 8 3 制圧(8)
    攻勢移転、逆襲時期 20 1,680 32 11 殲滅(11)
    追撃(予備) 5 420 8 3 制圧(8)
    対砲兵戦 10 840 16 6 殲滅(6)

    殲滅か制圧かの問題は 状況に依り変化するおとあるべしと雖も 先ず右表の基準下に復行の要否を定め(一回にて足ることあるべく 三回も復行することあるべし) 二回復行するものとして地域数を配当し 之に集中するや否やを考慮し 中隊を当て嵌むれば概ね適当なるべし 復行すれば地域数を減じ 集中すれば火力準備箇所の数を減ずること既述の如し

    而して 戦術上の判断に依り 必要と思惟する地域に火力を準備し 時間の余裕あらば其重要順序 又は主副を定むれば 更に完全なるべし

    戦闘実施に方りては 火力を準備せるも敵情上射撃せざる地域を生ずることあるべきは勿論なると共に 臨機火力の移動に依る阻止を実施することあるものとす 要は火力準備 及 配置に方り 出鱈目に地域を記入し 所謂 豆腐戦術の弊に陥らざるを肝要とす

第三節 防御戦闘各期に於ける砲兵

防御戦闘の主要なる各時期に於ける砲兵戦闘は敵兵力漸減戦なりと謂うべく 歩兵戦闘開始以前に於ては 砲兵のみの攻撃的戦闘なるを以って 其状況を熟知すれば 高級指揮官として 砲兵運用上 始めて砲兵に対し 適確なる任務を与え 適切なる歩砲の協調を律することを得べし

第一款 警戒陣地突破迄

攻者にして防者の警戒陣地を突破する迄に於ける 防御砲兵の行動を観察するに 概ね次の三期に区分し考定することを得べし

  1. 一、 敵の近接時に於ける砲兵戦闘

    敵兵主力は未だ開進配置に移ることなく 其一部は逐次我警戒陣地前に向かい 逐次に近接して爾後の攻撃準備を企図せんとしつつある運動時期にして 此際 防御砲兵のなすべき戦闘は 防御の目的により差あるも 決戦を企図する一般の防御に在りては 砲兵 就中 長射程砲を以って 交通路上の要点に達し 適時射撃を行わしめ 其他の砲兵は敵の行動を妨害する為 交通遮断 及 擾乱射撃を行わしむるべきものとす

    抑々敵の近接時に於て 之を捕えて其行動を妨害するは 広義に於ける攻撃準備の妨害にして 爾後に於ける攻者の攻撃準備に支障を呈せしむるの要因たるや論なかるべきも 同時に防御砲兵の此種の行動は 砲兵の配置 及 企図を暴露し 機に先ちて標定せられ 次いで全般の防御戦闘に関し一大不利なる影響を与えるを以って 斯くの如き目的の為使用すべき砲兵力は 勉めて之を最少限に止め 為し得れば 本陣地以外の砲兵陣地より射撃せしむるを可とす

  2. 二、 敵の攻撃準備間に於ける砲兵戦闘

    敵の攻撃準備は我警戒陣地附近の適宜の線に 其第一線の立脚地歩を占めて行われるべく 此際 防御砲兵は一般の状況 特に防御の目的に鑑み 沈黙の要なき場合に於ては 効果を確認し得べき地域 若は 有利なる目標等に対して 適時射撃を行い 以って敵の攻撃準備を妨害せしむるものとす

    敵砲兵著しく優勢なる場合に在りては 過早の戦闘開始により機に先ちて我砲兵を益々弱勢ならしむるの不利を避くる為 前述の如き投機的戦闘を断念し 専ら敵に対し掩蔽隠忍して防御の重点たる歩砲の協同火力により 敵を陣地前に於て破砕殲滅するの好機を待たしむるを可とすることありて 斯くの如き場合に於ては 砲兵 特に師団砲兵の主力をして 戦闘初期に於ける対砲兵戦を避けしむるものとす

    次に 一般の状況 特に防御の目的に鑑み 沈黙の要否と砲兵戦闘との関係を論述せんに 左の如くなるべし

    1. (一) 砲兵沈黙を要する場合

      敵砲兵 及 航空部隊の 我に比し著しく優勢なる場合 若は 敵の攻撃準備 頗る慎重なる場合等にして 此際 防御砲兵をして敵の攻撃準備を妨害せんが為射撃せしむる時は 却って敵砲兵の為 標定せられ自ら求めて被害を大ならしむるのみならず 防者は自ら主力砲兵を暴露し 陣地の骨幹敵に通告するの結果を招来すべし

    2. (二) 砲兵沈黙の要なき場合

      前項の如き沈黙の必要を認めざる場合は勿論 其他特に機動攻勢を企図するが如き場合に在りては 須らく準備の優越を活用して 敵の攻撃準備未完に乗じ之を打撃するを要するものとす

    之を要するに 防御砲兵沈黙の要否を決するには 戦闘準備の優越を活用するの利益と 企図暴露の不利とを 較量考慮して採択すべく 効果を確認し得べき地域 若は 有利なる目標なるを要するは勿論にして 状況によりては 主力砲兵を使用することなく一部の砲兵を以って其任に当らしむる可とすることあり

    次に此時期に於て考慮すべきは敵戦車なりとす 即ち 敵戦車の集合 若は 運動の状態 就中 出発位置を偵知し 茲に比較的永く停止して 戦闘加入の為直接準備を為すべき好機を捕えて其行動を妨害し 為し得れば之を破壊するを可とす

  3. 三、 我警戒部隊の戦闘間に於ける砲兵戦闘

    警戒部隊の陣地は主陣地帯に在る主力砲兵の掩護を受け得るを一つの標準として決定せらるべきこと已述の如く 又 警戒部隊は成るべく永く要点を保持して敵の捜索を妨害し極力敵情を捜索するの必要上 警戒陣地に於ける某程度の抵抗を敢えてするは勿論にして 之が為には主陣地帯よりする砲兵の協力を最も肝要なりとし 従って 警戒部隊に与うべき任務に関連し 之に協力すべき主陣地帯の砲兵力を指示するを肝要とし 該警戒部隊と主陣地帯の砲兵との間には 信号其他の 確実なる連絡通信手段を講じ 以って適時警戒部隊より 後方に射撃を要求し得るを必要なりとす

    警戒部隊に協力すべき砲兵部隊は 警戒部隊の該陣地を撤退するに方りては 其収容に任ずるを要するのみならず 警戒部隊の退却は 敵と触接を保ちつつ 一止一退の状を呈すること多かるべきを以って 益々砲兵の緊密なる協同を必要なりとす

第二款 主陣地帯の戦闘間

攻者の主陣地帯に対する戦闘間に於ける防御砲兵の行動を観察する為 次の四期に分割区分して考定し 防者の逆襲 及 攻勢移転に関連する事項は 之を次款に一括せんとす

  1. 一、 敵の主陣地帯に向かう前進間に於ける砲兵戦闘

    攻者は警戒陣地の突破に引き続き 主陣地帯に向かい攻撃前進を起すを一般とし 此際 防御砲兵は予め火力を準備せる地域に対し適時射撃を行い 以って敵歩兵の前進を阻止するを急務とす 然れども 如何に周到なる準備を以って火力配置を行いある場合と雖も 状況によりては 予め準備せざる地域に対しても射撃するを要することあるは 防御の特性上 免れ難き事象にして 要は既成の準備に拘束せらるることなく 現実の敵情 特に敵歩兵の状態に応じて適切なる砲兵戦闘を遂行せしむるを肝要とす

    以上の如く 斯くの如き時期に於ける防御砲兵の主目標は敵歩兵なること 敢えて励言を要せざるべきも 而も此間所要に応じ一部の砲兵を以って敵砲兵を射撃せしむべきものとす 是此 防御砲兵は飽く迄敵歩兵を目標とし全力を挙げて敵歩兵に集中し 以って迅速偉大の効果を収むべきも 同時に此際に於ける敵砲兵の行動を考察するに 其攻撃歩兵を支援し之を防者歩兵に肉薄せしめんが為 極力其火力を防御砲兵に指向するを当然とし 従って 防御砲兵たるものは 全然敵砲兵に介意することなく 敵歩兵をのみ打撃せんとするは 事実に於て之を許さざる場合あるべく 茲に対砲兵戦に任ずる軍直轄砲兵の存在するは勿論なりと雖も 尚 師団砲兵として 一部の砲兵を以って敵砲兵を射撃せざるを得ざることあるを期するを要す

    此時期に於ける 敵後方に対する師団砲兵の戦闘は 前述の対砲兵戦に比し更に其要度軽きものと謂うべく 極めて緊要なる場合の外 好んで採用すべき目標に非ず 是前述縷説の如く 此際の主目的は直前焦眉の敵歩兵の阻止に存するを以って 其他の戦闘に火力を分散するを不可とすればなり 而して師団砲兵として斯くの如き戦闘をも遂行すべき場合とは 近く敵の後方に来進せる増援部隊にして極めて有利なる目標を呈するもの 或は 敵の後続兵団の進出に乗じ効果を確認して之を要点に阻止するが如き其例なりとす

    敵歩兵にして予定の火力配置地域に進入せりや否やを判定するは 砲兵の観測所よりするを便利とし 且 斯くの如きを一般的方法なりとするも 隊形の疎開、観測所の価値、戦場の地形、煙幕硝煙の発生、天候気象等によりて 之を許さざる場合あるを自然とし 斯くの如き場合に於ては既述の如く抵抗地帯の前方に一部の観測所を配置し 歩兵掩護の下に砲兵任務の遂行を企図せしむるを要することあり

    此時期に於て攻撃前進する敵戦車に対しては 所要の砲兵をして之を射撃せしめ 爾余の砲兵は 戦車と協同して前進する敵歩兵を阻止せしむるを要し 敵歩兵射撃の重大性に鑑み 敵戦車に対ぜしむべき砲兵は 必要の最少限に止むるを至当とす

  2. 二、 敵歩兵が我が歩兵火網に近接時に於ける砲兵戦闘

    防者歩砲兵の協同火力を最高度に発揮して敵歩兵圧倒すべき好時期に到達せりと云うべく 砲兵は予め歩兵との密接なる協定の下に配置せし火力により 或は 我歩兵の機関銃 並びに 歩兵砲等を以って火制し難き地域に於ける敵歩兵を掃蕩し 或は 重要の度に応じて歩兵火と重複して砲兵火を加える等 砲兵戦等の白熱期となるべし

  3. 三、 敵歩兵我が歩兵火網内に侵入時に於ける砲兵戦闘

    防者歩砲の協調火力は 茲に益々熾烈となり 歩兵は其有する各種火器を挙げて火戦に従事し 砲兵は重要なる地線に対して固定弾幕射撃を行い 或は 敵の占領せる要点に対して集中射撃を行う等 敵兵漸次接近するに従い 砲兵は其主力を以って之を猛射し 其火力を最高度に発揚して 敵歩兵を茲に破砕殲滅するを期すべきものとす

    敵兵 我陣地に近迫するに方り 予め隠匿せし側防砲兵を使用し 或は 予定の予備陣地に移動したる砲兵を以って 敵の不意に乗じ急襲的に射撃せしむる時は其効果極めて大なるものとす 然れども 斯くの如きは一時的の目的なるを以って 之が為 多数の砲兵を使用するは防御の特質上許さざるところにして 一部の小数砲兵のみを以って此等の目的に使用するを一般とす

    敵の戦車 我が陣地直前に近迫し来る時は 戦車射撃の為 第一線附近に配置せる野山砲は専ら之が破壊に任じ 主力砲兵は所要に応じ 我対戦車砲を射撃する敵の砲兵を制圧するものとす

  4. 四、 敵兵の突撃 及 陣内戦闘に於ける砲兵戦闘

    敵兵遂に我陣地に肉薄せば 砲兵は縦い至大の損害を受くるも敢えて介意することなく 猛烈なる射撃(固定弾幕に依る阻止、予め準備せる火力 又は 臨機指向する火力)を行い 我歩兵に協力し 必要に方りて最も便利なる位置に火砲を移して射撃を継続するを要し 敵兵若し更に我陣地内に侵入せば 砲兵は一部を以って陣地内に侵入せる敵を射撃して我歩兵の逆襲に協力し 主力は敵の第一線と後方部隊とを遮断し 地区の歩兵と協力して敵を撃滅せんことを期すべし

    敵の戦車にして我陣地内に侵入せば 前線にある野山砲は之が破壊を期すべきものとす

第三款 攻勢移転 及 逆襲間
  1. 一、 攻勢移転に於ける砲兵戦闘

    攻勢移転に方り 砲兵は歩兵の攻撃前進に先だち 其主力を以って攻勢の為 我重点方向を指向する方面の敵 就中 其枢要部を猛射し 要すれば其一部を以って我攻撃歩兵に最も危害を与える敵(砲兵 若は 機関銃等)を射撃して 攻勢の初動を有利ならしめ 攻守の勢を転倒すること肝要にして 一度我歩兵の攻撃前進に移るや 爾後に於ける砲兵の行動は 全く攻撃に於ける場合に等しく 前進する我歩兵を阻止する敵砲兵 及 機関銃等を制圧する如く直接支援の火力を逞うするに在り

  2. 二、 逆襲時に於ける砲兵戦闘

    敵の攻撃我陣地前に於て頓挫し 第一線部隊指揮官決然として逆襲を行うや 砲兵は機を失せず歩兵の逆襲に協力し 当面の敵歩兵を殲滅し 其退却 或は 後方部隊の増援を遮断し 敵左右の救援を分断し 敵砲兵を制圧する等の射撃を実施するものとす

第四節 夜間防御に於ける砲兵

砲兵射撃法の進歩に伴い 夜間射撃の可能性を向上したること既述の如きも 特に防御に在りては 戦闘準備に余裕あるを以って 夜間射撃の利益を完全に収むるの機会多かるべし

  1. 一、 第一線部隊に協力すべき砲兵

    第一線部隊の火力戦闘に協力せしめんには 最も精密なる射撃準備を行い 又 第一線と密接なる連絡を保持し 適時歩兵の要求に応じて直ちに射撃を実施し得る如くするを肝要とし 砲兵は其射撃時機判定の為に 要すれば斥候を派遣するを可とし 又 夜間射撃の為 照明隊を使用する場合に在りては 之と密接なる連絡を保持せざるべからず

  2. 二、 使用の梗概

    高級指揮官は特に砲兵の火力配置 及 歩砲の協同に関し 所要の事項を命令して砲兵の準備を実施せしめ置き 以って適時有効なる砲兵射撃を利用して 我が第一線の火力を増援し 若は 敵後方部隊の増援を阻止遮断せしむる如く使用すべきものとす